──綾野さんは本作のような文学作品や「オールドルーキー」のような感動エンターテインメントなど、出演作品の振り幅が大きいと思うのですが、作品選びのポイントがあれば教えてください。
基本的にオファーが来た順番です。
──来る者拒まずですか?
僕たちが選んでいるように見られがちですが、常に私たちは選ばれる側です。まずは求められることに対してきちんとお応えできるかということを念頭に置いています。自分がいい作品と巡り合えるよう鮮度を高めておくことが大切だと思います。
──綾野さんが一番リラックスしていると感じるのはどういう瞬間ですか?
撮影現場にいるときです。
──確かに、お忙しいですよね。なかなかオフの時間は取れないということでしょうか。
あ、いえ、そういうことではなくて“オンオフ”という言葉やワードはあくまでコミュニケーションを取るためのツールです。実際は、僕たちは電気のスイッチのように点くか消えるかで生きているわけじゃないような気がしています。強く発光するか柔らかく発光するかの違いはあっても完全にスイッチが切れることはその時が来るまできっとないように。基本何かしら考え、セリフや役作りをする以外にも日常を学んでいく必要があります。
──では最後に、この作品のどんなところをどんな方に見て欲しいですか?
終わりと始まり、送る事と迎える事。あらゆる事へのレクイエム映画です。ぜひ触れて知って頂けたら幸いです。この作品に出会おうとしてくれる全ての方に感謝です。
◆取材・文=入江奈々
撮影=菅慎一