椿にとっても紅葉は“話せる人”になっていた。出会う前は、喫煙者ではないのに喫煙所に出向いて、2度と会わない人に仕事の愚痴を言っていた椿。第5話の序盤では、喫煙所にいったんは向かった椿が思い直して紅葉に電話をし、「別に何も用事とかなくて、ちょっと耳貸してほしいだけなんだけど」と話し始め、紅葉は夜々と一緒にカフェにいたのに1人外に出て長い時間“耳を貸して”あげていた。
耳を貸してほしいときに貸してくれる人がいる。おなかが痛い=心が痛いことを少しでも分かってくれる人がいることは、生きているうえでなんと心強いことだろう。
視聴者からは「耳貸して欲しいんだけどっていいフレーズだな」「椿と紅葉の耳の借りっこがなんかよかったなあ」「こんな仲間、友だち、いいなぁ」「耳貸してくれる人がほしいし、誰かのそういう存在になりたい」「椿さんの耳借りたい」など大反響があった。
紅葉は椿とちゃんと“友だち”としてつながっている。椿の家から「お邪魔しました」と帰るときに椿の「またおいで~」に対し、再会した高校時代の友人はまた会うか分からない「バイバイ」だったのはちょっと切ない。けれど、椿家で集まったとき用に色違いのマグカップをそろえて、好きな色、似合う色を考えてくれて、でもちゃんと選ばせてくれる、ゆくえや夜々も友だちとしてしっかり寄り添ってくれている。「○○して」「○○でいい?」に無理して「いいよ」と合わせなくてもいいのだ。
そんな友情を築いている4人だが、違う感情も動き始めている。夜々は紅葉がゆくえのことを幼なじみでも友だちでもない「好き」なのではと指摘し、夜々は椿から紅葉に「耳貸して」と連絡あったのに自分にはなくてちょっと嫉妬したような表情や、コンビニにアイスを買いに出かけたときに「今度は4人で来ようか」という椿の言葉にちょっと複雑そうな、寂しそうな表情だった。
「男女の間に友情は成立するのか?」という永遠の命題がどう描かれていくのか、楽しみだ。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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