鈴木拡樹、「自分には才能がないんだと気付いた」新人時代 不器用だからこそ考える自分なりの戦い方

2023/11/18 18:00 配信

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自分は不器用だと自覚しているからこそのアプローチ

鈴木拡樹撮影=友野雄


──今の話と少し通ずる話ですが、今回の作品では演劇を通じて憧憬や嫉妬など感情のぶつかり合いが描かれます。鈴木さんご自身は他人の才能に憧れたり嫉妬したりする経験はありますか?

嫉妬……あるんだろうな。自分が持っていないものを持っているわけですからね。でも僕の場合は、嫉妬より憧れのほうが強いかなと思います。憧れると、まずは一回真似してみるじゃないですか。でも結局その人の一番の魅力は真似できなくて「あ、自分はこういう輝き方はできないんだな」とわかって、戦い方を変えてみるというのが多かったかな。

──あまり自分を他人と比べないようになってきている?

といっても比べちゃうとは思いますけどね。ただ、長年この仕事をしてきているので、まず自分は不器用だと自覚しています。不器用だからこそ、他人の「いいな」と思った部分も、自分なりに変換して身につけていけば使える武器になるかもしれないというのが、自分のコンセプトで。例えば歌は苦手で、もともと歌がうまい人のようには歌えない。だったら自分にはどういうアプローチができるかを考えるんです。“演劇で歌う”とはどういうことなんだろうと考えて、まずは歌を一回セリフに起こしてみたり。自然と入ってくるような歌が歌えないんだったら、その代わり「今、こういう感情で、こういう状況を伝えているんだ」とわかりやすい歌にしようとか、戦い方を変えるようにしています。でもスッと歌い上げるのも諦めてはいないので勉強はしつつ。毎回、作品に出るたびに「今回はこういうところを強化しよう」と目標を立てるようにしています。そして、周りには優れた人たちがたくさんいるので、それ以外にも少しでも自分のものにできるように、何をどう盗んで、どう自分に当てはめていくかというのは考えていますね。その作業は苦しくもありますけど、楽しいんですよね。

──その楽しさというのは、苦しさの先で何かを達成できた瞬間に感じますか? それともその悩んでいる過程も?

僕は過程のほうが好きかも。だから、この仕事が救いになっているのかもしれないです。

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