MBS・TBS系列全国28局にて放送・配信中のアニメ「呪術廻戦」(毎週木曜夜11:56-0:26ほか、TBS系/ABEMA・ディズニープラス・Huluほかにて配信)の第2期18話(第42話)「理非」が11月23日に放送された。「渋谷事変」も佳境に差し掛かるころ、今話では七海建人(CV.津田健次郎)が虎杖悠仁(CV.榎木淳弥)の目の前で命を落とすという衝撃の展開が待っていた。七海の最期について、言葉での解説はほぼされていない。それでも映像中には十分なほどの情報が埋め込まれている。ここで彼が抱えていた「理非」と、その最期を改めて振り返ってみたい。(以下、ネタバレを含みます)
陀艮との戦いで左目を失い、漏瑚に左半身を焼かれ、満身創痍となっていた七海。疲れ果て、意識が朦朧(もうろう)となりながらも群がる改造人間を祓い続けていく。そんな時間が過ぎ、気付いたときには真人(CV.島崎信長)に背中を触れられていた。真人の術式「無為転変」は、人の魂に触れ、肉体の形を思い通りに変えてしまうものだ。魂を呪力でガードしなければ防ぐことはできず、例えそれができたとしても、数回触れられれば呪力の守りは破られてしまう。七海は以前の戦いで真人に触れられており、ここが最期と悟ったのかもしれない。頭の中では高専時代に任務で亡くなった友人、灰原雄のことを思い浮かべていた。
「灰原 私は結局何がしたかったんだろうな。逃げて 逃げたくせにやり甲斐なんて曖昧な理由で戻ってきて」とつぶやく七海。
今話タイトルの「理非」とは、「道理に適っていることと、背いていること」という意味を持つ言葉だ。物事の行いに対して使用され、冒頭シーンで虎杖の脳裏を巡っていた回想は、それを分かりやすく伝える演出だったのだろう。人を助けるために生きると決めたのに、自分が生きているから人が死ぬ。そうした矛盾は、七海の行動そのものでもあった。呪術師はクソだと学び、合理的な考えで動くくせに、やりがいという曖昧なことを求めて呪術師の世界に戻ってきた人間。つぶやいたように、七海には結局自分がしていることへの疑問が常に付きまとっていたのかもしれない。
そんな自問をする七海に向かって、灰原は指を差す。その先には異変を感じ、駆け付けてきた虎杖がいた。灰原の表情は、怒っているとも、頷いているようにも見えるものだったが、五条悟とは違う、七海という導く存在がいたから今の虎杖がいるということを、彼を指して伝えてくれたのではないだろうか。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)