コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、“種族が違う者同士の絆”を描いた漫画『魔族が人間の少女と家族になる話』をピックアップ。
作者である漫画家のホンノシオリさんが、2023月9月9日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ、5.6万件を超える「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事ではホンノシオリさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
物語の主人公は魔族公爵の魔法使いゴーマ・カースタイン。国や王のために様々な執務をこなして尽くしてきたが、王はその能力を恐れ、国家転覆罪で処刑を言い渡す。王だけでなく、この刑に異を唱える民がいないことにも失望したゴーマ・カースタインは、虚しくその最期を迎えるはずだった――。
そんな彼に、エマという少女が「だいじょうぶ?」と話しかける。そして傷付いたゴーマに、驚くべき魔力量で傷を癒やすエマ。彼女は人間の子とは違う能力が備わっていることから“わざわいのこ”と呼ばれ、人々から蔑まれ、山奥でたった1人で暮らしていた。
「エマのことこわい?」と怯える少女に、ゴーマは「怖くなどないさ」とやさしく頭を撫でる。そしてゴーマを慕うエマに、“命を救われた礼”として欲しいものを尋ねると、エマは「パパがほしい…」とつぶやく。
“ゴーマにパパになってほしい”という予想外のエマからの提案に、戸惑いを隠せないゴーマ。しかし、お腹をすかせたエマに料理をしてあげた際、嬉しそうに笑う彼女の顔を見て、徐々に心が揺らぎ始める。そして最終的には自ら父親役を買って出る。
「もうエマ…ひとりじゃない?」と尋ねるエマに「これからは私と一緒だ」とやさしく答えるゴーマ。国に追われ地位や権威、生きる目的を失ったゴーマに、エマが生きる理由をくれた瞬間だった――。
ネット上では「2人の関係が尊すぎる」「この2人には絶対幸せになってほしい」「心温まるストーリーでほっこりした」「とても良かった!続きが読みたい」など、感動の声が多数寄せられている。
――『魔族が人間の少女と家族になる話』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
本作を制作するに至ったきっかけは、自分の作風の幅を広げたかったからです。『魔族が人間の少女と家族になる話』は“家族愛”をテーマに制作させていただきました。
また本作を制作した理由は、読んだ人がほっこりできるようなハートフルな漫画を自分自身で描いてみたかったからです。
――本作では、エマの純粋さや優しさ、そして心が温かくなるような設定やストーリー展開が非常に魅力的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
こだわった点で言えば「シリアスに振り切らないようにする」という点だと思います。物語の展開上、エマもゴーマも心に傷を抱え、気持ちが沈んでしまう描写が多くなります。けれど暗いトーンで会話を進行して欲しくないので、時折ゴーマのセリフを聞いていないエマなどを挟んで、読んでいて息が詰まらないよう意識しました。
注目してほしい点で言えば、2人のやりとりの微笑ましさでしょうか。読む人が癒されてくれれば良いなと思いながら描いていたので、見ていてほっこりしてもらえたら幸いです。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
気に入っているシーンは、本編ラストのゴーマが父親になると決心するシーンです。モノローグとコマの間、物語の締めまで含め綺麗にまとめることができて非常に気に入っております。改めて読み見返すとコマ割りなどはもう少し改善の余地がありそうです。
エマとゴーマ、最終的にはどちらも救われているという描写でもありますので、自分で読み返してもほっこりすることができます。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
基本的には「自分はこういう漫画が読みたい」という願望から物語を考えています。本作で言えば「魔法を使った丁寧な暮らしをする漫画」を読んでみたいなという願望から本作は考えられています。X(旧Twitter)掲載分では出会いまでしか描けていないので、いずれは2人が魔法を用いて幸せに暮らしている様子も描いていきたいです。
世の中面白い漫画はいくらでもありますが、自分好みなドンピシャの漫画となると自身で創作するしかありません。結局のところ自分の欲求を満たしたいというところからストーリの着想につながっていると思います。
――作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
作画をする際にこだわっている点は、デッサンのバランスは妥協せずに綺麗に整えたいというのはあります。本作を描く上では、デッサンのバランスさえ整っていれば線画が粗くてもスピード重視で描くことを意識しました。
――今後の展望や目標をお教えください。
本作と、今現在連載中の作品も含めもっとたくさんの作品を描きたいです。プロット、描き起こしているネーム含めて、未公開の作品がまだまだありますので、それらはいずれ全部世に出したいと思っています。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
X(旧Twitter)の方でも少しだけ触れたのですが、本作の続きも今後ちゃんと描きたいと思っています。しかしながら今現在は連載作品のスケジュールの都合上難しいので、長い目で見守っていただけますと幸いです。
いつもコメント等ありがとうございます。読んでくださる読者様に楽しんでもらえる漫画をこれからも提供していきたいです。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)