CS放送「衛星劇場」にて、現存する最古の「忠臣蔵」映画に、弁士の片岡一郎と映楽四重奏による活弁・演奏が特別に音声収録された「最古の忠臣蔵<活弁トーキー版>」が、12月13日(水)他テレビ初放送される。放送に先駆け、片岡からのコメントも到着した。
日本映画の父と言われる牧野省三監督と、日本史上初の映画スターである尾上松之助コンビが作り上げた作品の一本で、現存する最古の「忠臣蔵」映画。2018年、国立映画アーカイブ、マツダ映画社、無声映画保存会がそれぞれ所有していた素材を編集し1本にまとめたものに弁士の片岡による活弁・映楽四重奏による演奏がついている。
元禄14年3月、江戸城の廊下で赤穂藩藩主の浅野内匠頭が吉良上野介に斬りかかる。浅野は即日切腹となるが、その結果を不服とする大石内蔵助をはじめとする赤穂浪士47名は元禄15年12月14日未明に吉良邸へ討ち入り吉良の首をはねる、というあらすじとなっている。
片岡は「尾上松之助は千本をこえる主演作を撮ったとされるが、フィルムのほとんどは散逸し、現在見ることが出来るのは断片を合わせても十数本である。本作は現存最古の映画版『忠臣蔵』であると同時に、松之助の若々しい身体的演技が確認できる意味でも極めて重要な作品といえる。」とコメント。
加えて、「まだ映画が舞台劇と地続きであったからこそ成しえたいくつかの表現は現在の映画からは失われてしまっている。それらを単に古い、無価値なものと判断するのは適当ではない。多くの庶民を活動写真感へ向かわせた根源的な映画の魅力が本作には秘められているのだ。」と見どころを語った。
そして、自身が手掛けた活弁について、「初期の日本映画には、声色弁士といって現在の声優のように、複数の弁士が個々に役割を受け持ち、声を付け、また伴奏音楽も芝居の下座音楽が主に用いられていたが、今回は往年の弁士たちが吹き込んだ録音を元にしながら台本を新たに書き直し、弁士一人ですべての役を演ずる独演形式とし、音楽も和洋合奏形態を採ることで古格を保ちつつ新たな表現を実現した。」と聞きどころを解説。
そして、「今回の新録音は無声映画を回顧の対象として消費するのではなく、古典作品を時代に応じた新作として再提示できる可能性を示している。また弁士を、フィルムの発見者である私、片岡一郎自身が行っているのも、映画の発掘保存の点から意義がある出来事といえる。」と古典作品の可能性についても語った。
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