じんわりと温かいジヌの人柄にモウンが好意を持ち始める流れも、とても自然だ。雷雨のシーンでそっと自分の耳をふさぎ「音もなく降る雨も、悪くないわね」と一人つぶやいたり、ジヌが手話で何と言ったのか知りたくて、スマホで手話の動画を一つ一つ検索してみたり。モウンは、ジヌと彼を取り巻く“音のない世界”に少しずつ心を寄せていく。
1995年のオリジナル版ではファクスがコミュニケーションツールの一つとして重要な役割を果たしたが、2023年の韓国リメイク版ではモウンが手話の意味を検索して調べたり、ジヌがスマホのアプリでモウンの言葉を読み取ったり、現代ならではのツールを活用するシーンが自然に取り入れられ、違った趣きを見せている。
美しい映像も本作の特色の一つだ。1話では、満開の桜並木と菜の花畑、どこまでも続く海辺など済州島の美しい風景が登場する。「僕は目で音を読む」と語るジヌ。美しい風景描写は、“見る”ことで世界を知覚するジヌの豊かな内面世界を思わせる。
その一方で、印象深い“音”もいろいろと聞こえてくる。例えば済州島でジヌとモウンが雷雨に見舞われるシーンでは、大きな雷の音にモウンだけが不安そう。だが、彼女が耳をふさぐと雷の音は小さくなる。まるで旅先でジヌと出会い、“私は今、一人じゃない”と安らいだモウンの思いを象徴するかのようだ。
他にも、アイスコーヒーのカップの中で氷が楽しげに踊るカラコロという音や、オーディションで悔しい思いをしたモウンが台本をクシャッと丸める音など…言葉を発しないシーンが多いからなのか一つ一つの音がくっきり聞こえ、かえって見る者に“音のない世界”を意識させる効果を生んでいる。
美しい世界観の中で、ゆっくりと互いを意識し始めたように見えるジヌとモウン。12月4日(月)配信の第3話からは、ゆっくりと関係を深めていく2人の日常が描かれる。
「愛していると言ってくれ」はディズニープラス スターにて独占配信中(全16話/毎週月・火曜1話ずつ配信)。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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