ところでこの1969年は、2人のアメリカ人が月面着陸(7月)に成功した年。史実に照らし合わせると、地球に戻ってきた彼らの歓迎パレードが8月13日にニューヨークのマンハッタンで行われた。映画では、このパレードの群衆の中にインディがいて、大騒ぎを起こすというテイになっている。
59丁目のセントラル・パーク・サウス(プラザ・ホテルのあるあたり)から51丁目(ロックフェラー・センターがあるあたり)にかけて、馬に乗ったインディが地下鉄の線路も使いながら繰り広げる大捕物は、「ありえねえ」と「すげえ」が交錯する、まさにフィクションならではのスリル満点。画面の向こうから思わず拍手喝采し、こたつでスタンディングオベーションをしてしまった。しかもこのニューヨークでロケをしたとしか思えないシーンは、スコットランドに「架空のニューヨーク」を作成して撮影されたというのだから仰天だ。
ほか、モロッコのタンジェにおける異国情緒あふれるシーンや、紀元前212年の「シラクサの戦い」(シュラクサイ包囲戦)に第二次大戦の戦闘機が突っ込むところなど、時空も場所も超えた「なんでもあり」的な展開も満載。日本で言えばゼロ戦が卑弥呼の頭上をクルクル回るようなものだろうが、このあたりの描写も実に楽しく情熱的に描かれていて、憧れのアルキメデスに出会ったインディが考古学教授から一人の歴史マニアの顔に戻って「これこそ俺のいたかった場所なんだ!」とばかりに興奮&感動にうち震え、現代に帰りたくないと意思を示すあたり、対象は違っても「オタ」であることに変わりはない我々の琴線に触れること間違いなしだ。
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◆文=原田和典
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