極上の宿で癒された翌日、小田井が「肥後に見せたい」と連れて来たのは富山・新湊にある「海王丸パーク」。階段を登った先にあったのは、富山湾の水平線が一望できる絶景だ。ほぼ180度の視界に遮るものはなく、青い海と空の境界がはっきりと目に映る海王丸パークの景色。肥後は両手を広げ、「久しぶりに見たこんな絶景!」とはしゃぐ。
富山県のほぼ中央に位置している新湊は、昔から水産業が発達して栄えた町だ。しおりにある「今食べたい!富山の“アレ”を五感で堪能」を探して歩く小田井が発見したのは、大きなカニの看板が掲げられた「新湊きっときと市場」。「富山の“アレ”」とは、名物・紅ズワイガニだったようだ。
9月から12月にかけて旬を迎える紅ズワイガニは、富山の秋の名産品。立川連峰の栄養豊富な雪解け水が流れ込むことで多くの魚介類が集まる富山湾は、「天然のいけす」とも呼ばれる。
市場で競り落として店頭で塩茹でした鮮度抜群のカニ身を、さっそくいただくことにした2人。ぎゅっと身の詰まった紅ズワイガニの足を口にした肥後は、思わずといったように「いや美味い」「何杯でも食べられちゃうね!」と笑みをこぼす。続けて、小田井もカニを口にすると、「カニエキスたっぷり」と大絶賛。カニが本来持つ旨味を、素朴に楽しんだ。
お店のおすすめとして提供されたのは、「蟹づくし御膳」。なかには肥後の手ほども大きなカニ甲羅に盛られた、豪勢なちらし寿司も。たっぷりのカニ身にイクラをこぼした贅沢な一皿を、口いっぱいに頬張る肥後。小田井が「(口に)詰め過ぎて肥後さんこぼしまくってるもんな」と肥後のわんぱくっぷりを笑うと、肥後もちいさくはにかむのだった。
今回の旅では、合間に肥後が持つ「旅のこだわり」を語るシーンが。現代ではSNSやインターネットで“見どころ”や“地元グルメ”を事前調査するのが当たり前になったが、肥後は地元の人に話を聞くのが流儀だという。
「昭和の刑事と一緒でね。足で、足で稼ぐんですよ!」と笑う肥後を見るにつけ、小田井も納得したようす。旅において、人との触れ合いを大事にする小田井としても共感する部分が多かったようだ。
「今度ね、プライベートで。せっかく小田井さんとこうやって、巡り合ったんだから!」と肥後。よく“大人になってから友達を作るのは難しい”というが、穏やかな2人のやり取りを見ているとそんな壁は感じられない。旅のロケーション以上に、穏やかな気持ちにさせられる一幕だった。
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