爆弾の処理に成功したロイドだが、船内にはまだ複数の爆弾が仕掛けられている可能性が高く、船員や保安局員による捜索が始まる。そんなおり、偶然すれ違った殺し屋のリーダー格(CV:鳥海浩輔)の心を読んだアーニャは、第8デッキの時計に爆弾が仕掛けられていることを知り、機転をきかせて船員に通達。知らせを聞いて駆けつけたロイドは、爆発まで時間がないことを察し、猛ダッシュで時計ごと海に投げ込み、大事を免れたのだった。このとき、爆弾を仕掛けた張本人である情報屋と、それに気づいて追ってきた殺し屋のリーダー格は船外の小型ボートにいたため爆発に巻き込まれた。甲板でその様子を見ていたアーニャは「ばくはつそしした!! アーニャのおかげ」とご満悦だったが、託児所のお姉さんに見つかってしまい、引きずられながら戻っていくのだった。
後半に入っても、アーニャの大活躍は止まらない。時計に爆弾が仕掛けられていることを知ったアーニャは船員を呼び止め、知らないおじさんが時計に鼻くそを付けていたという話をでっち上げて調査を依頼。見事な機転で爆弾の発見に貢献した。さらにロイドが爆弾を海へと放ったことで、船外にいた敵の残党まで始末したこととなり、本日二度目の奇跡を起こす結果となった。アーニャはこの日、当初の目的以上の功績を二度も生み出したのだ。
いよいよオルカ・グレッチャー(CV:遠藤綾)とグレイ(CV:寺島惇太)が船を離れる時間となった。オルカはヨルを抱きしめて「本当に、ありがとう」とお礼を言い、最後に赤ん坊をヨルに抱かせる。戦闘後のため手の汚れを気にするヨルだったが、オルカは「その手が、この子の未来を繋いでくれたのよ」と告げる。船を離れていくオルカたちのボートを見つめ続けるヨル。マシュー・マクマホン(CV:堀内賢雄)は「一丁前に感傷に浸るのはおやめなさい」とヨルをたしなめつつ、任務の褒美として休暇を与える。一方、一連の爆弾処理を終えたロイドは、アーニャを迎えに託児所へ。寝ているアーニャを抱きかかえ、部屋へと戻る。長かった1日がようやく終わり、また新たな一日が始まるのだった。
アーニャがミラクルをたくさん起こした1日を締めくくるのは、大人たちのドラマ。仕事に対する信念を新たにしたヨルと、一人の兵隊であることを忘れるなと釘を刺すマシューのやり取りは、ちょっぴりビターで切ない。ロイドもロイドで、託児所で寝ているアーニャを抱きかかえ、「緊急案件とはいえ、結局また家族を放り出してしまったな…」と反省。ロイドのなかでもフォージャー家の存在が大きくなっていることが分かる。さらに圧巻だったのは、本編最後の1分15秒だ。セリフや効果音はなく、ピアノを主体とした優しいBGMのみが流れるなか、静かに夜が明けていく様子が描かれる。アーニャに翻弄され続けたロイド、二度の奇跡を起こしたアーニャ、己と仕事に向き合ったヨル。それぞれの想いをすべて包み込みながら、また新たな朝がやってくるこのシーンは、長編の豪華客船編のラストカットにふさわしい深い味わいを感じさせてくれる。また、唯一の効果音である汽笛の音からエンディング曲へと繋がっていく流れは特に洗練された雰囲気を感じられた。
次回「MISSION:35」は12月9日(土)放送予定。期待して待とう!
※種崎敦美の崎は、正しくは「たつさき」
■文/岡本大介
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