山寺宏一、ディズニー作品と抜群の親和性 ジーニー、スティッチ、ドナルドダック…新作「ウィッシュ」でも名演披露

2023/12/20 07:10 配信

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実写もアニメも映画「アラジン」で山寺宏一が日本版声優を務めるジーニーディズニープラスで配信中/(C) 2023 Disney

創立100周年を迎えたウォルト・ディズニー・カンパニーの記念作となる最新映画「ウィッシュ」が12月15日に劇場公開され、公開から3日間で動員43万人、興行収入6億1200万円を突破し、週末興行収入1位スタートを切った。同作の主人公は、願いがかなう魔法の王国に暮らす少女・アーシャ。幼い頃からディズニー作品を愛してやまない生田絵梨花が初めてディズニーヒロインを務めることや、同じく初ディズニー作品出演で“ディズニー史上最恐のヴィラン”マグニフィコ王役を福山雅治が担当することも大きな話題を呼んでいるが、こと日本版声優において“ディズニー作品の声と言えば山ちゃん”と言われて久しい山寺宏一ももちろん参加。長年のキャリアを誇る彼にとって初めての役どころとなる“子ヤギ”のバレンティノを演じ、観客を楽しませてくれている。そこで今回は山寺がかつて演じてきたディズニー作品(アニメーション、吹き替え)キャラクターを幅広いエンタメに精通するジャーナリスト・原田和典氏が主観も交えて紹介する。

世代を超えて愛される“山ちゃん”とディズニーの関わり


アニメーション、実写吹替問わず引く手あまたの名声優を“ちゃん”呼ばわりするのも実に失礼だとは思うが、ついそう勝手に呼びたくなる軽やかさ、親しみやすさがある山寺。あの声が聞こえてくるだけでうれしさが止まらなくなる、という人たちは、世代を超えて存在するはずだ。歳月を重ねてもなおポップでキャッチー、しかも常に新しいファンを引き込み、一家そろって楽しませてくれる。よく考えてみたら、これはディズニー作品にもそのまま当てはまる。なるほど、両者の相性が抜群に良いのも分かる話ではないか。

たくさんの作品に参加して人々に喜びを与えてきた山寺とディズニーアニメーションの関わりについて語り出すとあまりにも膨大な数に及び、すべてを紹介し終える頃には2023年も終わってしまいそうなので、今回はその一部を簡潔に紹介。あらためて「ああ、これ知ってる」とか「これも山ちゃんだったのか!」など、ワイワイ楽しんでいただければ、こんなにうれしいことはない。

映画「美女と野獣」よりディズニープラスで配信中/(C) 2023 Disney

山寺が担当した主なキャラクターたち(カッコ内の年数は日本公開基準)


●「シンデレラ」(1992年)のジャック

シンデレラを助けるネズミたちのリーダー格。太目でのんびりした“ガス”の兄貴分といったところか。口先を絞ったようなタイトな発声で、リーダーシップや頭の良さを感じさせる発言を行なう。

●「美女と野獣」(1992年)の野獣(王子)

いかにも野蛮な奴だなと思わせておいて、途中でキャラ変。深みのある低音が、かれんな“ベル”の声と快いコントラストを描く。ちなみに実写版の吹替は山寺ではない。

●「アラジン」(1993年)のジーニー

アニメーションの原語版はロビン・ウィリアムズが声を、実写版(2019年)はウィル・スミスが演じていた。山寺は両作でジーニーの声を担当。アニメーション版で声を入れ、さらにこれまでにいくつものウィル登場作品の吹き替えを担当していた山寺が実写版でも日本語吹き替えにキャスティングされたのは、しごく当然だ。ジーニーは体が伸び縮みするのだが、それにぴったりとあわせた声の抑揚は、まさに山ちゃんの名人芸。

●「ムーラン」(1998年)のムーシュー

中国を舞台とした初のディズニー作品に登場した、赤い竜にして主人公・ムーランの守護霊。とても“根はいい”キャラクターだ。存在感、声、共に「すっとんきょう」の一言に尽きる。

●「リトル・マーメイドII ~RETURN TO THE SEA」(2000年)のセバスチャン

カニの執事で、歌が得意。いまはダミ声だが、若いころはボーイソプラノだったらしい。おせっかいなところもあるけれど、それも主人公・メロディをしっかり世話したいという責任感ゆえのこと。ちなみに「リトル・マーメイド」(1989年)のセバスチャンは山寺ではない。

●「101匹わんちゃんII~パッチのはじめての冒険」(2002年)のサンダーボルト

主人公・パッチが憧れるシェパードの役者犬で、テレビ番組「サンダーボルト・アドベンチャー・アワー」の花形スター。自分大好きなキャラクターでもある。

●「リロ&スティッチ」(2003年)のスティッチ

実在のアメリカ人歌手、エルヴィス・プレスリーのファンであるリロと呼吸を合わせる生物兵器(試作品)。犬のように見えるがそうではない。息が漏れているかのように発声しながら、当然ながら言葉は細部までしっかり聞き取れる。「エイリアンのキャラクターに、どう人間の声を合わせていくか」という命題に向かい合う、声優の姿がある。

●「トレジャー・プラネット」(2003年)のB.E.N.

記憶回路の一部を奪われていたロボット。歯切れ良さと速さの両方を併せ持つ口調で、話の流れを一層引き締める。

●「シュガー・ラッシュ」(2013年)のラルフ 

ヴァネロペ(初のユダヤ系ディズニー・プリンセス)との、いわば凸凹コンビの、凸のほう。縦も横もヴァネロペの数倍もありそうな大柄な体格の持ち主。こもり気味だが、ボリューム豊かな声で存在感を発揮する。

●ドナルドダック

ミッキーマウスと並ぶ、言わずと知れたディズニーの大人気キャラクター。少年の頃から動物の鳴き声やモノマネで回りを喜ばせていたという山寺にとって、世界一有名なアヒルであろうドナルドダックを演じることは、とんでもなく感慨深いことだったのではなかろうか。

●「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(2014年~)シリーズのピーター・クイル(クリス・プラット)

本作はマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品だが、吹き替えでの山寺の良さがとても発揮されている映画なので、大きなくくりでの“ディズニー作品”として紹介させていただく。ピーター・クイルはエイリアンと地球人を親に持つ、トレジャーハンター。このクイルの活躍と葛藤(加えてちょっと軽薄気味のキャラクター)が、この「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズの肝となる。山寺は、主演のクリス・プラットから「すごくうれしい」と言葉をかけてもらったという。

映画「三人の騎士」よりディズニープラスで配信中/(C) 2023 Disney

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