将来有望の10代ダンサーも! 今注目すべきダンスジャンル“WAACK”

2017/08/07 12:00 配信

芸能一般

HIPHOP、LOCK、BREAKIN、HOUSE……

この言葉を見て、ダンスのことだとわかる人は多いでしょう。このような所謂“ストリートダンス”と呼ばれるジャンルはいくつもありますが、ここ数年でグッとダンサーが増えたジャンルを知っていますか?

それが、WAACK/WAACKING(ワック/ワッキング)です。胸と腰の連動や上半身、下半身それぞれのツイストをしなやかに操り、腕を体に巻きつけるような動きや鞭のように腕を振り回す、女性らしさが特徴的なダンス。最近ではWAACK限定のダンスバトルが開催されるほど、日本のダンスシーンでも注目されているジャンルです。ファンクやディスコ系の音楽に合わせることが多く、ソウルダンスと組み合わせて踊っているダンサーもよく見掛けます。

ゲイから生まれたダンス“WAACK”とは?


1970年初期、当時のディスコでゲイがドラッグクイーンやグレタ・ガルボ、リタ・ヘイワース、マリリン・モンローなどのポージング、古い女性スターの静止画、ミュージカルなどを真似て踊っていたダンスがWAACKの始まりでした。ゲイダンサーの多くは、バレエやジャズダンスを学んでおり、WAACKには腕の動きだけでなく、ターンを盛り込んだ動きもよく見られます。

そこから、ダンサーのTyrone Procterによって現在のWAACKの動きが創り出され、アメリカの音楽番組「Soul Train(ソウル・トレイン)」(1971年-2006年)にThe Outrageous Waack Dancersとして出演するなど、自らWAACKを広めていきました。WAACKの語源は、「叩く/WHACK」から来ていると言われていますが、Tyroneが「ワーック!」と、よく叫んでいたからなど、さまざまな説があります。また、同じく腕を回す動きが特徴的なジャンル、PUNKINGと同じ括りにされることも多いのですが、これにはダンサーによってさまざまな解釈があり、一概にこれが正解だとは言えません。ちなみに、PUNKINGの語源である「PUNK」はスラングで「オカマ」、「くだらない」といった侮辱の言葉であり、ゲイへの差別用語ということから「PUNKING」とは言わず、「WAACK」と言うようにしているダンサーもいるそう。

メキメキと頭角を現している若干14歳のMARINA


そんなWAACKはここ数年で耳にするようになったジャンルですが、日本のダンスシーンでもWAACKは長く踊られています。今年で結成35年となる日本のダンスシーンを語る上で欠かせないチームBe Bop Crewを始め、大阪を中心に活躍し、世界最大級といわれる日本のストリートダンスコンテストJAPAN DANCE DELIGHT vol.13にて3位入賞を果たしたRm Sister、国内外で活躍し、日本の女性ダンサーでトップと言っても過言ではないYOSHIE率いるebonyなど、昔からWAACKを踊り続けてきたダンサーは多くいました。また、WAACKのオリジネーターであるTyroneに師事したMizuki Flamingは、東京のWAACKシーンに欠かせないパイオニア的存在です。

WAACKというジャンルを一気に日本中に広めたのは、IBUKIとYUMEKIによるキッズダンスチームBAD QUEENだといえるでしょう。数多くのダンスバトルで目覚ましい活躍を見せ、大人びたルックスからメディアにも登場するなど、その活躍ぶりと圧倒的な存在感はキッズダンサーの憧れとなりました。今では日本のみならず、海外からも数多くのオファーを受けてワークショップやイベントのゲスト出演、バトルのジャッジを行なうなど、今もなお成長し続けている、これからのダンスシーンを担う貴重なダンサーです。

そんな彼女たちに続けとばかりに、多くのキッズダンサーもまたバトルやコンテストに挑戦するなど、精力的に活動しています。その中でも、同じくWAACKというジャンルでメキメキと頭角を現しているのが、若干14歳という若さで数々のバトルで好成績を残しているダンサー、MARINAです。女性らしさが問われるWAACKらしく、中学生とは思えない大人びたルックスと女性が持つ力強さを表現した踊りが魅力のダンサー。SNSでは子供らしい一面も見ることができますが、音楽が流れ出すとその表情は一変し、自信に満ち溢れた顔つきになります。踊っているときにふと見せる笑顔は余裕さえも感じるほど。

海外の大会にも出演


多くのバトルで好成績を残しているMARINA(写真左)


そんな彼女は、滋賀県出身で関西を中心に活動していますが、最近では関西を飛び出し、日本各地にまでその勢いは広がっています。また、今年7月に開催されたSUGARGROOVE.BITTERSTEPのWAACKサイドにおいて優勝を果たし、今秋、上海にて開催されるWAACK CITY FINAL出場が決定。ますます、これからの活躍に期待できる10代のダンサーの1人。

現在の日本人ダンサーのレベルは世界で高く評価されています。しかし、もはや大人と同じ土俵で戦っても引けを取らないほどレベルが高いと言われるキッズダンサーたちが大人になったとき、日本のダンスシーンはさらに世界から注目を浴びることになるでしょう。

(文●msk(onelove))

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