――「渋谷事変」原作コミックや、シナリオを読まれた際の物語の印象を教えてください。
五条悟という最強の存在が封印されたことによって事態が動き出し、まさに「渋谷事変」という滅茶苦茶な状況が巻き起こるわけですが、キャラクター同士の群像劇やいろいろな要素が絡み合い、さまざまな闘いが勃発していくところが面白さの一つだと思います。
それぞれの登場人物もとても魅力的ですし、呪霊や呪詛師の思惑が絡んでくるところも注目の要素です。原作で描かれているバトルやアクションシーン、せりふなど、映像で見てみたいシーンもたくさんあります。
目を背けたくなるような描写や絶望感を感じるような場面もあるのですが、これに動きや声が入って映像で観たらどんなことになるんだろうと楽しみにしていました。
――「渋谷事変」に先駆けて、五条や夏油らの過去を描く「懐玉・玉折」が放送されました。作品をご覧になっての感想はいかがですか?
ドラマとしては夏油の物語が面白いと感じました。彼が何を見て、何を経験して、あんな風になってしまったのか。終盤近くまで、高専時代の2人の青春がしっかりと描かれていて、彼らの友情が描かれていたからこそ、その後のギャップであったり、五条や夏油の孤独がすごく身に染みるというか。
「渋谷事変」の前に、このエピソードを描くことで、五条はやはり最強を背負ってる人物なんだなという実感を持って「渋谷事変」の物語につながることができるのだと思いました。
――シリーズを通して、ご自身が好きなキャラクターや、気になるキャラクターは誰でしょうか?
やはり一番好きなのは真人ですね。自分が関わる役は、どこかしら自分の分身のように掘り下げていくもので、このキャラクターはどんなことを考えているのかなと感情移入もしますし。真人は意外にシンプルなキャラクターだと思っています。呪いとしての本能の赴くままに生きている純粋なキャラクターなんです。
自分が敗れそうになった時も、その死の感覚を楽しんでいたりするところもあって。でも、真人は経験したことを通して、どんどん変わっていく、変化していくキャラクターでもあります。“虎杖を殺したい”と、個人の強い意思として自我を持ち、虎杖に執着していくようになる。成長すればするほど、皮肉なことに人間らしさが見えてくるんです。
最初の本能だけで行動している頃は、他者への共感が無く、怖いと感じる部分もありましたが、成長した今の真人は、ベストな選択ではないと分かっていても、己の強い意志のために行動してしまうようなところがある。自身の命にも執着するようになったと思います。そんな変化が面白くて、それを自分なりに埋めていくと、案外わかりやすくてなじむキャラクターだなと感じています。
――「呪術廻戦」の魅力はどんなところにあると思いますか?
「呪術廻戦」の登場人物って、呪霊も含めてみんな人間くさいなって感じています。徹頭徹尾純粋で真っ白な光とか、完全に真っ暗な闇みたいな人はいなくて、みんな清濁併せ持っている。立ち位置が変われば白と黒は裏返るし、純白の闇やら漆黒の光なんかも有り得るし、同じ人物でも色がころころ変わったりもする。
シンプルな記号しか持たないキャラクターとしてではなく、きれいなところ汚いところ、強いところ弱いところ、格好良いところ格好悪いところ、矛盾する部分なんかも含めてグラデーション豊かに人間を描いているところが、物語に引き込まれる要素の一つなんじゃないかなと思います。
――虎杖との壮絶な闘いを繰り広げる第45話の放送に向けて、視聴者へのメッセージをお願いします。
44話をご覧いただくと分かるかと思うのですが、真人は今はもう最高潮に虎杖との戦いを楽しんでいます。この最後の呪い合いがこの先どうなっていくのか、ぜひご覧いただいて感じてもらいたいです。きっと映像もすごいことになるのではと思います。スタッフ、キャスト一同が全力で取り組んでおりますので、ぜひ楽しんでください。
※島崎信長の崎は正しくは「たつさき」
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)