松下の音楽的盟友とも言えるギタリストのカンノケンタロウが編曲を担当した「FLYFLY」(作詞・作曲:松下洸平)は「ライブを意識して制作しました」(松下)というアッパーチューン。“どうすべきかよりどうしたいかを/選べる自分でいたいな”など、ストレートな思いを込めた歌詞も聴きどころだ。
「「FLYFLY」はライブで一緒に歌える曲、みんなで盛り上がれる曲にしたくて。レゲトン(※レゲエ、ヒップホップなどを融合したラテン音楽)のビートを取り入れたくて、自分でつくったデモをカンノくんに送って、ブラッシュアップしてもらいました。歌詞にはかなり自分の思いが入ってますね。僕はのんびりした性格で、普段はわりとぽわぽわしているんですけど(笑)、心の中ではメラメラ燃えるものもあったり、頑固な部分があったりもする。それを「FLYFLY」に託したところもあります」
アルバムの最後に収められた「たんぽぽ」(作詞・作曲:松下洸平)も強く心に残る。ピアノと歌のシンプルなアレンジ、ノスタルジックな旋律、そして“貴方の花でありたい”という願いを込めた歌詞。この曲を聴けば“アーティスト・松下洸平”の音楽的な成長を実感してもらえるはずだ。
「ピアノと歌だけで成立している曲を入れたくて、ピアニストのハタヤテツヤさんにお願いしました。僕がつくったデモを聴いていただき、コード感などはすべてお任せして。レコーディングでも素晴らしい演奏をしてくださって、“あとは自分がいい歌を歌うだけ”という状況でした。普段はパートごとに分けて歌を録ることが多いんですが、「たんぽぽ」は細かく分けず、ライブに近いような、流れを活かす感じで歌ったので、ブレスの音がそのまま残っていたり、生感を活かした楽曲になっていると思います」
アルバムタイトルの『R&ME』の由来はもちろんR&B。幼少期から母親の影響でスティービー・ワンダー、アース・ウィンド・アンド・ファイアー、デルフォニックスなどに親しんできた松下。1997年にデビューしたディスティニーズ・チャイルドに「言葉にならないような衝撃を受けた」ことをきっかけにR&Bにさらに傾倒したという。その衝撃は今も松下の中に色濃く残っていて、その音楽性にも強い影響を与え続けているのだ。
「どうしてR&Bが好きかと言われると……こればっかりは言葉にならないものなのかなって気はしてますね。気づいたら好きになっていたし、今も惹かれ続けているとしか答えようがないというか。ジャンルに捉われたくないという思いもあるんですが、根底にR&Bへのリスペクトがあるのはずっと変わらないです。僕がシンガーであることを知らない方がたくさんいらっしゃいますし、まだまだ発展途上なんですが、ちょっとずつでも自分の音楽が広まってほしいという思いもあって。今回の『R&ME』は、“松下洸平はR&Bが好きなんだな”ということがちゃんとわかるアルバムにしたかったんです」
2024年1月からはアルバム『R&ME』を携えた全国ツアー“KOUHEI MATSUSHITA LIVE TOUR 2024 〜R&ME〜”を開催。ライブに対する思いもさらに高まっているようだ。
「お客さんに楽しんでいただくことはもちろん、ステージに上がる僕たちも楽しんでいないとダメだなと思っていて。年末からリハーサルが始まるんですけど、みんなで歌ったり踊ったりしている姿を想像しながら準備したいです。会場も少しずつ大きくなっていますが、ライブのスタイルや演出面をただ派手にすればいいかと言えば、そんなことはないと思うので、ステージでの表現も追求していきたいです。今回のツアーはなるべくお客さんとの距離を縮めて、アットホームなライブにしたいですね」
(撮影/大辻隆広 取材・文/森朋之 ヘアメイク/赤木悠記 スタイリスト/後藤泰治)
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)