【テレビの開拓者たち / 岡澤正樹】「面白い番組を作りさえすれば、状況は変わると思う」

2017/08/07 14:00 配信

芸能一般 インタビュー

1990年代末のお笑い氷河期にスタートし、2000年代初頭に起こった新しいお笑いブームのきっかけとなった「爆笑オンエアバトル」(1999~2010年NHK総合)をはじめ、「笑・神・降・臨」(2008~2013年NHK総合)、「おぎやはぎと愉快な芸人(なかま)たち」(2016年NHK総合)、「番組バカリズム」(2013年~2015年NHK BSプレミアム)、そして8月11日(金)にNHK総合で放送される特番「真夏のお笑い夜どおしフェス どぅっかん!どぅっかん!」など、長年にわたって数多くの番組を手掛け、“NHKのお笑い番組”を牽引してきた岡澤正樹氏。おぎやはぎバナナマンら、今や人気者となった多くの芸人たちから“同志”として慕われている岡澤氏に、番組作りのポリシーや今後の展望、そしてテレビ界の未来まで、お笑い番組の作り手の観点から、ざっくばらんに語ってもらった。

「笑・神・降・臨」は短めのお笑い単独ライブみたいな番組を目指しました


おかざわ・まさき=1965年5月7日生まれ、東京都出身


――岡澤さんがテレビマンとして最初に担当された番組は?

「入社して半年くらいで『クイズ100点満点』(1988~1994年NHK総合)の担当になって、取材をしたり、ロケに行ったりしてました。

初めて自分の企画で作った番組は『笑・神・降・臨』ですね。そのころ、『爆笑オンエアバトル』で芸人さんと仲良くなっていく中で、持ち時間が5、6分だとネタをやりづらいという人もいたんですね。バナナマンやアンジャッシュのコントは、当時から評価は高かったけど、長尺だからこそ面白い、というネタもたくさんあった。だから、そんなネタでも放送できる、短めの単独ライブみたいな番組ができたら面白いんじゃないかなと思ったんですよね。しかもそのころは、『爆笑レッドカーペット』(2007~2010年フジ系)が始まって、短いネタがどんどん主流になっていく時期だったので、あえてわれわれは、その逆を行った方が面白いんじゃないか、というのもあって。芸人1組で29分間、基本はネタ番組だけど、何でも好きなことをやっていいよ、と。マニュアルを作りたくなかったんです。芸人さんによってやりたいことも違うでしょうし、やり方ももちろん違うので、番組としてはなるべくそれに合わせたいなと。その方が番組のカラーも出るし、面白いかなと思って」

――それはつまり、毎回毎回、新しい特番を作るような作業ですよね。かなり時間も掛かったのでは?

「最初のころに出てもらった芸人さんは、普段からよく一緒に飲みに行ったりしている人が多かったので、やりたいことは分かっていたし、そのあたりは割とスムーズに行きましたね。本人の携帯番号も知ってるから、いろいろ話もできましたし。次長課長は、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK総合)が好きだから、あの番組のパロディみたいなものをやりたいと言い出して。そこで『プロフェッショナル』のプロデューサーに電話したら、セットを貸してくれて、技術スタッフもついてくれて、本物そのままの感じでやれたんですよ。次長課長の2人も、すごく楽しかったみたいですね。『笑・神・降・臨』は、芸人さんもみんな楽しんでくれたし、質の高い番組が作れたんじゃないかと思っています」