世界を代表するダンスコンテスト「WORLD OF DANCE」で、日本人初の二連覇を飾ったFabulous Sisters。一糸乱れぬ振付を体現する高いダンススキルと女らしさを全面に出した作品で観るものを魅了するチームだ。今回は大注目を浴びるFabulous Sistersを率いるRuuにインタビュー。チームのことや自身のダンスマインド、10代トークなど、世界一の称号を獲得したRuuのこれまでを語ってもらった。
——まずはWOD優勝おめでとうございます!WODで優勝した今の心境は?
「ホッとした気持ちが1番強いですね。優勝しなかったら日本に帰れないと言っていたので、笑。」
——当日の会場では、メンバーにどんな言葉をかけてステージに挑みましたか? また、Ruuさんのテンションはどんな感じですか?
「沢山練習を重ねてきて、1度きりの本番で練習の成果を出せなければやってきた意味も無いし、そこで力を出せないような人になるな。と伝えました。私は割と冷静に、失敗なく全て上手く行くように集中していました。」
ーー今回出演し、Ruuさんが現地で感じた“世界のダンスシーンは”どのようなものでしたか?
「去年も出てるんですけど、相変わらず会場のエナジーというか熱気がすごかったです。やはりHIPHOPが多くパワーも凄いですし、ガッツリ揃えてるのが1番印象に残っています。色んな国から来ているので、最初は若干の敵対みたいなのは感じますが、踊り終わると例え敵でも、良いものは良いと素直に言ってくれます。その中で戦えるのはとても素晴らしいと思いました。みんな本気でやってきてますからね。何よりメンバーは日本から離れて言葉も通じない環境で踊って、踊り終わると色んな人が「凄かったよ!」「おめでとう!」など沢山声をかけてくれます。結果はもちろんですが、この経験が必ず何かに繋がると確信できるくらい素晴らしい経験だったと思います。
——改めてになりますが、Fabulous Sistersですが、どういうグループですか?
「東京と福島のメンバー半々で構成されたチームで、全員私の生徒です。下は小学5年生から上は私までで、キッズから大人まで在籍しています。普段レッスンで頑張っている子やコンテストで結果を残している子がメンバー入りの最低条件になっていて、頑張った子が舞台に上がれるチームです。」
——選抜制だと熾烈な戦いになってそうですね。
「熾烈ですよ! 競争率も激しいですし、実際に抜かされて選抜を外れた子もいますしね。作品を作る度に構成を変えるんですけど、いつも悩んでメンバーを決めてます。」
——RuuさんにとってFabulous Sistersのメンバーはどういう存在ですか?
「本当の姉妹みたいに仲がいいです。くだらない話ばっかりしますしね。でも、練習するときは思いっきり練習するので、オンとオフはしっかりしようってみんなに伝えてます。ただ、仲良すぎて私がなめられるというパターンがありまして(笑)。私の目が届かないところでご迷惑をかけたりとか、態度が緩み切ったときはちゃんと怒って締めるとこは締めてます」
——メンバーの年齢差もあると思いますが、話とか合いますか?
「合いますよ(笑)。うちの小学生はマセてるので、グループのお姉ちゃんたちから色々教えてもらってるんです。新作の化粧品とかもよく知ってます。」
——なんか聴いてる音楽も僕らの予想を超えてそうですね。
「前に小学生の子の部屋に突撃するというイタズラをしたら、洋楽のRemixとか聴いてて(笑)。最近の小学生は才能も感覚もすごいですね。自分達の時代と全然ちがいます。」
——「WORLD OF DANCE」で二連覇という栄光を掴みましたが、まとめる立場として本番前にメンバーに伝えた言葉はありますか?
「一生懸命練習しても本番で自分の力を出し切れなかったら意味がないと伝えました。みんな厳しい練習を頑張ってきたし、色々な方に協力してもらって、やっとあの舞台に立てましたし、ここまで来られたことも奇跡だと思うので、本番で力を出し切れない人になりたくないよねって。」
——ダンスコンテストに出ているとき、どういうことを考えていましたか?
「何回も踊りこんで練習するタイプだったので、勝ちたい! がんばるぞ! というよりは、今の振付の角度大丈夫だったかな? 練習してたやつ出来たかな? とか冷静に分析しながら踊ってました。大事な見せ場とか、そこに持ってくまでの空気感、お客さんの反応とかも気をつけてましたね。」
——練習してきたこと完璧に出し切ることを意識していたと思うのですが、練習で心がけていたことはありますか?
「踊りこみの段階になったら、より本番に近い形で練習してます。衣装やヘアメイクも本番と同じようにしますし、MCに呼ばれて、登場して、踊って、退場する流れも練習しますね。当日の流れを想定して心の準備もしてます。私がMC役をやるんですよ! 「続いてのチームは」みたいな感じで(笑)。」
——振付師は振付を作ったり人を動かす仕事ですけど、バックダンサーは逆になると思います。バックダンサーをやっているときはどんなことを考えていましたか?
「私はバックダンサーの仕事は合わない方でした。アーティストさんによると思うんですけど、大勢の女の子の中で個性を消されて踊っていたので、自分の表現をやりたいって強く思うようになりましたね。あとバックダンサーの現場は色々な方が関わっているので、少しの出演時間でも拘束時間が長いです。その時間でもっと自分は出来ることがあるんじゃないかと思うようになって、振付師の仕事にシフトしていきました。」
——振付師としての立場になった時、気がついたことや心がけたことはありますか?
「振付師ってすごくいい仕事だと思いました。私は過去の作品を超えたいと思うタイプなので、作品を作るたびにレベルアップしていくんです。振付だけじゃなくて、作り方とか流れも含めて誰もできないようなレベルまで習得できました。心がけていることは、撮影とか拘束時間が長い現場の時に、メンバーのケアを忘れずにしますね。気持ちが切れないように優しく笑顔で接してテンションを上げたり、疲労も気づかいます。あと、私はダンスで魅せたいという振付依頼が多いのですが、踊れない子でもダンスがうまく見える振付を考えたりします。」
——ダンスを「仕事」にしている立場から、ダンサーとして大切にしている心得を教えてください。
「仕事において、自分の意見があるから曲げないというのは一切しないです。普通だったら対応できない急な変更や追加にもすぐ対応します。私、振付を作るのめっちゃ早いんですよ。自分の武器だと思ってます。相手がやりやすい状況にすること大切にしてます。」
——10代の頃のRuuさんはどんな子供でしたか?
「本当にハングリーでした! ダンスイベントがあったらすぐに飛んでいくし、コンテストに出た日に、違う場所でバトルをやってたらエントリーして出ちゃう子でしたね。挑戦できることはなんでもしたいって思ってました。」
——自分の10代と今の10代で違うところはありますか?
「今はスキルの高い子が多いと思います。でも、キャラクター性がある子が少ないと思いますね。私の時はRIE(RIEHATA)とか小春(菅原小春)もいたし、自分を出せるキャラの強い子が周りにたくさんいました。私なんてキャラ薄い方でしたよ(笑)。」
——キャラクター性が薄くなったのは、情報量の違いとかもあるかもしれませんね。昔は自分から情報収集してましたけど、今はバンバン入ってきますから。
「そう! 自分から動くっていうのが少なくなった気がします。頑張りや熱意が、相手に見えづらくなっているのかも。私は自分の生徒達に熱さを持つように教えてますね。なんでも熱い気持ちでやるって大切だと思います。」
——10代のダンサーにむけてこれはやるべきことがあったら教えてください
「もうこれはひとつしかなーい! マジで英語です! 私も海外で仕事をするのに今必死に勉強をしているんですけど、勉強が本業の内に英語の勉強をしておけばよかったと思います。ビジネスレベルで会話できるくらいに英語は習得した方がいいです。」
(撮影●魚住誠一 取材・文●のざたつ)
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