「MOTHER―」での演技が評価され、奥平はこの年、「第94回キネマ旬報ベスト・テン」新人男優賞、「第44回日本アカデミー賞新人俳優賞」「第63回ブルーリボン賞」新人賞など名だたる新人俳優賞を総なめ。一躍、今後の日本映画界をけん引する存在として注目を集めた。
2023年は、初主演映画「君は放課後インソムニア」で不眠症に悩む高校生、広瀬すず&櫻井翔W主演作「ネメシス」の劇場版でAI開発の天才、憧れの先輩・横浜流星と初共演した映画「ヴィレッジ」(2023年)では全身タトゥーが入った“陽キャ”の青年…と、多彩なキャラクターを演じてきた。そんな2023年に彼が最も注目を集めたと言っても過言ではないインパクトを残したのが、久々の地上波ドラマ登場となった「最高の教師―」だ。
演じたのは、本心が読めない危うさを持った男子生徒・星崎透。最終回では、教師・九条(松岡茉優)に「俺と一緒に死んでくれない?お願い」と冷めた目つきで懇願する怪演を見せ、視聴者からも「お芝居に見入ってしまった」「星崎の気持ちに共感しかなかった…」と熱い感想が寄せられたほど。
感性のみずみずしさだけでなく、努力家の一面も奥平の魅力の一つだ。
「ワンダーハッチ―」で異世界“ウーパナンダ”の人々が口にする言語“ウーパナンダ語”は、リアリティーを持たせるために言語学者に依頼してゼロから作ってもらったオリジナル言語。奥平演じるタイムが憧れるドラゴン乗り・アクタ役の新田真剣佑も「めちゃくちゃ難しかった」と語るこのウーパナンダ語を、奥平は完璧にマスターしたという。
「ただしゃべるだけではなく、感情を乗せて、タイムが伝えたいことを伝えるというのが、今までにない挑戦でした」と、当メディアのインタビューで振り返った奥平。本編でもウーパナンダ語の長ゼリフをリズミカルに口にしており、バイリンガルの新田も「大兼はめっちゃ頑張っていました!長いセリフがあるんですけど、それをウーパナンダ語でば~っと(ペラペラしゃべった)」と驚いたほど。タイムのウーパナンダ語での一連のシーンも「ワンダーハッチ―」ならではの見どころの一つだ。
キャリア4年目を迎え、11月に「第15回TAMA映画賞」最優秀新進男優賞を受けた際には、「自分ならではのお芝居ができるようになりたいと、今年あらためて思うようになりました」と決意を新たにした奥平。だがまだ20歳。元来のみずみずしい感性に努力を惜しまない性格、さらに経験値も加わって、今後どんな俳優として成長していくのか興味は尽きない。
「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」は、ディズニープラスのスターで毎週水曜に新エピソードを独占配信中。12月27日(水)は第3・4話同時、第5話以降は毎週1話ずつ配信される。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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