2020年12月にリリースしたアルバムのタイトルは『AKIRA』。福山が17歳の時に亡くなった父親の名前がタイトルになっている。その前のアルバムも『HUMAN』という大きな意味を持つタイトルが付けられていたが、父親の名前をつけることで、人間の存在、死生観までも正面から取り組んだ作品となった。あと1曲加えるなら「想望」を。
こちらは福原遥と水上恒司のW主演映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」(公開中)の主題歌で12月4日にデジタル配信されたばかりの最新曲。映画の主人公である特攻隊員・彰(水上)の視点で、“今、日々を生きていることの幸せ”が描かれている。大みそかの「NHK紅白歌合戦」(NHK総合ほか)でもSPメドレーとして披露される予定で、この曲の初披露時の映像を収めた「FUKUYAMA MASAHARU LIVE FILM 言霊の幸わう夏」が、年明け1月19日(金)から4週間限定で全国公開される。
俳優としての代表作も枚挙に暇がないので選びきれないところだが、1993年に放送された「ひとつ屋根の下」(フジテレビ系)は何度も繰り返し見たくなる作品の一つ。江口洋介、福山、酒井法子、いしだ壱成、大路恵美、山本耕史による柏木家の面々がハマり役。「チイ兄ちゃん」の印象はずっと残っている。福山が江口に呼び掛ける「あんちゃん」のモノマネもはやった。
2003年に放送された松嶋菜々子とのW主演ドラマ「美女か野獣」(フジテレビ系)も名作だ。テレビ局が舞台で、松嶋と福山はチーフプロデューサーとディレクターで、元恋人同士という関係でもある。やり方が違ってぶつかり合うが、やがてお互いのスタイルも尊重するようになり…という“絆”が深まっていく様子を見ているのが楽しい作品。テレビ局員の人間模様を描いた作品という点でいわゆる“テレビっ子”にもウケた。
シリーズものでは「ガリレオ」は避けて通れない作品だろう。東野圭吾の人気シリーズを原作に、福山が物理学科の准教授・湯川学を演じた。刑事・内海薫(柴咲コウ)とのコンビ、大学の同期でもある刑事・草薙俊平(北村一輝)との関係性など、物理学者の視点から謎を解く面白さと、人間関係の面白さの両方が魅力になっている。ドラマ、映画など、いずれも「実に面白い」。
刑事とのバディものといえば、2023年4月期の日曜劇場「ラストマン-全盲の捜査官-」(TBS系)では、全盲のFBI特別捜査官役に挑戦。ドラマの中ではシリアスな事件が起こっているが、コンビを組んだ大泉洋とのコンビは笑わせてくれるシーンも多かった。
そして「アナと雪の女王」(ディズニープラスで配信中)のスタッフ陣が集結した最新作「ウィッシュ」は、福山にとって意外にも初のディズニー作品参加、初のミュージカル作品挑戦となったが、マグニフィコ王の吹き替え声優を見事に務めている。オリジナル・サウンドトラック(日本版)もリリースされており、その中で“なんて無礼な”のフレーズも印象的な「無礼者たちへ」と、アーシャ役・生田絵梨花とのデュエット曲「輝く願い」を聴くことができる。
100年たっても1人のことを好きでいるのはなかなか難しいことかもしれないが、これらの作品を見たり、聴いたりしていればキミもずっと幸せでいられるはずだ。
◆文=田中隆信
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