――大谷選手が日本の全ての小学校にグローブを3つ配布するということも話題になりました。
五十嵐:とても粋なことをしましたよね。あのグローブをプレゼントした裏側って何だと思います?
黒見:野球の魅力を子供たちに知ってもらいたいということなんだと思います。ワールドベースボールクラシック(WBC)もあって、野球の注目度が上がっているというのは感じていたと思うので、野球を少しでも近い存在に……という思いがあるのかなと。
五十嵐:そうですよね。大谷選手が使っているグローブをつけたとき、子供たちは「ワー!」ってなるんですよ。あとは皮の匂いとかを体感すると、その人の背景なども見えてくると思うんです。野球に興味を持ってほしいということはもちろん、グローブを手につけたときの感触や「グローブってこうなっているんだ」という想像力を掻き立てるプレゼントですよね。そこが粋ですよね。多分彼は常に野球というスポーツの楽しさを知ってもらいたいんでしょうね。でもアイドルという仕事もそういう部分があるんじゃないですか?
黒見:初心に戻ると、笑顔や夢を与えたいというのは自分の中のどこかにはあると思います。だからこそ頑張れるし、ファンの方々の大切さも実感します。それに加えて、自分が楽しみたいという思いもあります。
五十嵐:「自分が楽しむ」という思いも大切だと思います。まあファンに喜んでもらえるというのはとても嬉しいことですが、でも一番は自分が好きなことをやって、結果を出すことで、共感してくれる人がいる……という構図だと思うんです。「俺が夢を叶えてやるから、俺がこうしてやるから」というスタンスではないですよね。僕も「野球で夢を与える」という考え方って好きじゃないんです。それは受け取る側の気持ちだからね。大谷選手もまず自分が野球を楽しんでいる。そんな目を輝かせて全力でプレイする姿にファンが共感するわけで……。
黒見:だからファンも「大谷選手が一番だと思う選択」を応援したくなるんでしょうね。
五十嵐:その通りですね。
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