コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、“女上司が年下男子の部下にキュンキュンしまくる様子”を描いた漫画『怖い女上司が部下の男の子と服を買いに行く話』をピックアップ。
作者である漫画家の矢野トシノリさんが、2023月12月11日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ、8500件を超える「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事では矢野トシノリさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
本作は、見た目が少し怖い女上司・鶴瀬と、新入社員の男の子・月輪が少しずつ距離を縮めていくラブコメ漫画『これからだんだん幸せになっていく怖い女上司』の1エピソードである。ひょんなことから鶴瀬と月輪は、服屋に買い物デートをしに行くことになるのだが――。
待ち合わせに現れた月輪は、鶴瀬に対して「社外で『部長』もおかしいか…じゃあ」「鶴瀬さん…って呼んでいいですか…?」と、いつもは前髪で隠している目を見せ、恥ずかしそうに話しかけてくる。さらに今日の約束を“デート”と呼んで良いものか悩んでいた鶴瀬に、「せっかくのデートなんで…」とナチュラルな感じで口にする月輪。その言葉を聞いた鶴瀬は、“私…今日大丈夫かー!?”と喜びを必死に堪えていた。
そして以前鶴瀬が酔っ払った際に月輪が払ってくれたホテル代を渡すと、月輪は嬉しそうに「このあとのランチ代」「これ使うの…どうでしょう?」と上目遣いで聞いてくる。そのかわいさに鶴瀬は“この子こんなに可愛かったっけ?”と思わず口を押さえるのだった。
さらにランチの店も、鶴瀬が考えてきた候補と、月輪がリサーチしてきた“鶴瀬の好きそうな店”がほぼ一致しており、自分自身がリサーチされているような恥ずかしい気分になる鶴瀬。結局ランチで食べた食事も、緊張でいつもより味がわからなくなるほど動揺しているのだった――。
その後、2人はいよいよ鶴瀬の服を買いに行くことに。店に到着すると、「…実は僕も可愛いもの好きで」と告白する月輪。そして女性服を1着手に取り「これとか可愛いですよね♪」とはしゃぐ月輪を見て、鶴瀬の心臓は“ドキュウウン”と撃ち抜かれる。
そんな中、月輪は“鶴瀬がフリフリの服を着ているところを見たい”とお願いする。そこで覚悟を決めた鶴瀬はフリフリの服に着替え、鶴瀬に披露すると、月輪は見惚れた様子で「可愛い…」と呟いた。その言葉を聞いた鶴瀬は“ぽろっと出た「可愛い」が1番嬉しいかも…!”と喜びを噛みしめる。
その後、同じ店で男性向けのかわいい服を見つけ月輪に試着させることに。「僕がこんなのを着れるなんて思わなかったです」「ありがとうございます♪」と笑顔で感謝する月輪に、鶴瀬は“尊いっ”と赤面し、結局2人とも服を購入するのだった――。
2人の初々しいやり取りに、ネット上では「見ているこっちが尊いんだが」「早く付き合ってください」「月輪くんも鶴瀬さんもかわいすぎる」「必死に堪える鶴瀬部長が尊い」「鶴瀬さんがめちゃくちゃかわいい」「最高のドキドキデート」「鶴瀬部長、月輪くんに完全に転がされてる(笑)」「何だかんだお似合いの2人だよね」など、さまざまな感想が寄せられている。
――『怖い女上司が部下の男の子と服を買いに行く話』(『これからだんだん幸せになっていく怖い女上司』)を創作したきっかけや理由があればお教えください。
本作は前作である『防御力ゼロの嫁』のスピンオフで、そこに登場する強面女部長、鶴瀬真咲さんのお話なのですが、当時は普段怖がられている上司だけど実はかわいい服好きというギャップを付けたワンポイントキャラだったのです。
意外と鶴瀬部長は人気があって、出すたびにいい反応をもらっていたこともあり、『防御力ゼロの嫁』完結後に描こうとしていた『防御力ゼロの母』という作品で、これ以降鶴瀬部長出れないな…と思ったところで惜しくなり、一度だけスピンオフ描いてみよう!と描いてみたところ大ウケして今に至ります。
当然鶴瀬部長のスピンオフなのでかわいい服に理解のある男の子が必要と思い、前作主人公達が抜けた穴に入った中途採用の新入社員ということで月輪くんが生まれ、早々に服を買いに行く話を描くことになりました。この話自体は再掲載のもので、現在発売中のコミックスの方にも収録されてます。
――本作では、主人公が部下(月輪くん)の言動に翻弄される姿が、非常に面白くて印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
スピンオフ元の『防御力ゼロの嫁』でもそうだったのですが、基本的に強い女性が攻められてアワアワする様子が好きで、そういった姿ばかり描いてます(笑)。なので、照れる鶴瀬部長をご堪能いただければ幸いです。
――『怖い女上司が部下の男の子と服を買いに行く話』の中で、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
シーンとしては月輪くん初登場シーンでしょうか。基本的には女の子を描くのが得意なので、男性…イケメンを描くのには気を使うので、頑張った記憶があります。(あとここで前と大きくデザインが変わるのでそこもあります)
基本的には鶴瀬部長が萌えてる1枚絵のところは大体好きなんですが、強いて言えば、月輪くんのかわいい服を見て“尊いっ”をしている部長も好きですね。使いやすいせいか、ここのシーンだけ切り出してスタンプ作ったりしました。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
本作の作品自体が、“幸せになる=結婚するまでの話”というのがテーマなので、そうなると結婚するまでに必要な概ねのやりたい事、すべきことは決まっていて、そのエピソードに向かってキャラがどういう人物かを考えてどう行動するかを想像するようなイメージです。作者の思ってたことができないこともよくありますが(笑)。
着想という点で言うと、普段見てるたくさんの作品を経て色々思案して…最後は割と妄想なのかもしれませんね。(シャワーしてる時とか寝る直前、もしくは寝起きくらいにアイデアまとまったりするので)
――矢野トシノリさんの作品は、絵のタッチが非常に繊細かつ丁寧で、特に人物描写は表情などからそのキャラの心情などがわかりやすい印象を受けました。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
実はあまり自分の絵を繊細とか丁寧と思ったことがなくて…。そう思っていただけるのはありがたい限りです。前作から今作に至る時に少し絵柄や描き方を変えて、タッチを増やしてみたのがそうなっているのかもしれません。
以前から表情は割と評価されることが多くて、自分としても表情にはこだわって描いています。照れ顔が一番好きなので多めですが(笑)。たまに違う表情を描く時も楽しくて書き込みが増えてたりしますね。
特に鶴瀬部長は三白眼(もしくは四白眼)なので、目の視線とかバランスを少しでも崩すとかわいくなくなってしまうので、そこは最後まで気をつけて調整してます。基本ではありますが、1日置いてみたり遠くから見たり、一旦書き出してスマホなどの別媒体に送ってチェックしたり…と色々チェックはしてます。(それでも誤字とかはよくやらかすのですが)
――今後の展望や目標をお教えください。
本編最新作では、2人はもうラブラブカップルで、「“怖い”はどこいった!」とよく言われる本作ですが、変わらず鶴瀬部長のかわいさを描きつつ、ラブラブな付き合いたてカップルから結婚へ向けた具体的な話を今後は展開して、文字通り「だんだん幸せになっていく2人」を描きたいです。(これも「“だんだん”じゃなくて“どんどん”だろ!」というツッコミをよくいただきますが)
同人版(連載版)と商業単行本版が存在するのですが、両方とも話の完結まで出し切れることが今の目標でしょうか…。(連載版はともかく、商業版は売り上げが出ないと最後まで出せない世界なので)
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
毎回楽しみにしてくれる読者の皆様のおかげで続けられております!X(旧Twitter)での「いいね」やメッセージ、Pixiv、ニコニコ静画でのコメント、支援サイトでの応援等々…商業雑誌での連載をしない個人活動でここまで続けられるのは、皆様一人一人の応援のおかげです。
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