【漫画】従妹のために作った特別なお弁当は“亡き母の味”…お互いを想い合う家族の姿に「凄く泣ける話」「ほっこりしました」の声

2024/01/12 18:00 配信

芸能一般 インタビュー コミック

おじさんに作ってもらったお弁当を持って遠足へ(C)兎月あい/KADOKAWA

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、兎月あいさんが描く『さんしょく弁当』の第8話をピックアップ。

兎月あいさんが2023年10月27日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、1万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、兎月あいさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。

亡き母親の味で作られたサンドイッチを持って遠足へ

『さんしょく弁当』より(C)兎月あい/KADOKAWA

独身サラリーマンの鳴海は、母を亡くした従妹の姉妹と3人で暮らしている。

ある日、鳴海は従妹の妹・小梅の遠足にお弁当を作ることになる。鳴海が小梅にリクエストを聞いたところ、「えんそくーってかんじの トクベツなのおねがいねっ」と返ってきた。そこで鳴海は、昔、従妹の母親(鳴海にとっては叔母さん)に作ってもらったサンドイッチを作ることに決める。具材は、ゆで卵にマヨネーズ・味噌を混ぜ合わせたものと千切りの人参だ。

鳴海は子供の頃、遠足のお弁当を母にお願いするも作ってもらえなかった苦い記憶があった。しかし、お弁当を食べるみんなから離れてお腹を空かせていた鳴海の元に、事情を察した叔母さんがこのサンドイッチを作って持ってきてくれたのだ。そんな思い出深いサンドイッチを、小梅に作ってあげた。小梅にとっては、今は亡き母親の味で作られたサンドイッチということになる。

小梅は嬉しそうにサンドイッチを食べていたが、とある行動をしたことでお弁当を落としてしまう。幼稚園の先生から連絡を受けた鳴海は、自分の子供の頃を思い出し“一人だけお弁当を食べられず可哀想な思いをしているかもしれない”と、急いで小梅の元へ向かった。そして、同じお弁当を作っていた自分の分を小梅に届けたのだ。

小梅は鳴海に駆け寄りお礼を伝える。遠足の公園が鳴海の会社の近くだったため、小梅は“鳴海にできるだけ近づけるところでお弁当を食べよう”と、山に登ろうとしてサンドイッチを落としてしまったのだと言う。鳴海は、過去の叔母さんとのお弁当の思い出や、今回の小梅の行動を思い、優しい気持ちになるのだった。

本作には「凄く泣ける話」「ほっこりしました」など、心を温めている読者からのコメントが多数寄せられた。

作者・兎月あいさん「3人がお互いを思う気持ちを大切に」

『さんしょく弁当』より(C)兎月あい/KADOKAWA

――『さんしょく弁当』が生まれたきっかけや理由などをお教えください。

色々と案を考えているうち、設定の一つであった「主人公が料理を教える」という要素が膨らみ、料理メインのお話となりました。初期案のメインキャラは鳴海とえりかだけでしたが、そこに小梅が加わって3人となり『さんしょく弁当』が生まれました。

――作品を描く上で、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。

料理においては、身近な調理器具や食材で簡単に作れるものを考えています。私自身、特別料理が得意というわけではないので、私が作れるものなら、料理初心者のえりかでも鳴海と一緒に難なく作れるだろうなと。

お話においては、3人がお互いを思う気持ちを大切にしています。彼らは日中それぞれの職場や学校にいて離れていますが、気持ちを込めて作られたお弁当で繋がっていると思います。

あとは、仕草や対応、表情などが彼ららしくあるよう心がけています。

――本作はお弁当や料理を通じて、家族の物語が描かれています。兎月あいさんご自身の印象に残っている手作りお弁当エピソードがありましたら、お聞かせいただけますでしょうか。

お弁当のおかずでは甘い卵焼きが一番好きでした。なので、1話の卵焼きの味付けはお砂糖にしてみました。(しょっぱいのも美味しくて好きです。)

――X(旧Twitter)投稿には、たくさんの“いいね”とともに「ほっこりした」など作品を読んで心を温めている読者からのコメントが多数寄せられていました。今回の反響をどのように受け止めていらっしゃいますか。

反響にはタイミングもあると思いますが、多くの方にお読みいただけてとても嬉しかったです。その上でお言葉も頂けるのは本当に光栄で、励みになりました。作中ほっこりだけでは片付けられない事柄も多くありますが、読者の方はもちろん鳴海たちにとっても優しいお話でありたいです。

――今後の展望・目標をお教えください。

3人には様々な行事を経験してほしいです。その思い出がお弁当という形になればいいなと思います。彼らを繋ぐ実咲についても、もっと描いていきたいです。

――最後に、読者やファンの方へメッセージをお願いします。

いつも3人を見守っていただき、本当にありがとうございます。世の中には数々の作品がありますが、その中で『さんしょく弁当』を見つけていただけたこと、そしてお読みいただいていることは、この上ない幸せです。これからも彼らを見守っていただけるよう、精進して参ります。