マーベル・スタジオの最新ドラマシリーズ「エコー」が1月10日(水)に配信される。同作は、“アベンジャーズ”オリジナルメンバーの一人であるホークアイ/クリント・バートン(ジェレミー・レナー)が主人公のドラマシリーズ「ホークアイ」(2021年)で、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)に初登場した“エコー”ことマヤ・ロペスが主人公となる物語。今回はエコー/マヤ・ロペスを演じる俳優アラクア・コックスについて紹介する。
アラクア・コックスは1997年2月14日に、米・ウィスコンシン州で生まれた。2021年に配信されたドラマシリーズ「ホークアイ」が俳優としてのデビュー作。コックスが演じた“エコー/マヤ・ロペス”は強烈な個性を持つキャラクターだったが、デビュー作とは思えないほど、キャラクターの魅力を引き出し、発揮し、視聴者の心を惹きつけた。
エコーを演じるのはコックス以外考えられないと思えるくらいのハマり役。この作品でのコックスの演技、そして視聴者の大きな反響が今回のドラマシリーズ「エコー」につながったのだろう。約2年前、「ホークアイ」が配信された頃に公開されたメイキングで、同作の制作総指揮を担当したトリン・トラン氏は「コミックスに登場するキャラクターを忠実な形で登場させたくて“マヤ・ロペス”になれる人を世界中で探した」と語っている。
エコーは耳に障がいがあるネイティブ・アメリカンの女性。ニューヨークの裏社会を牛耳るキングピンの組織に属していた父親が亡くなった後、キングピンに育てられた。演じるコックスもネイティブ・アメリカンで、聴覚に障がいがあるという共通点を持つ。
コックスは「“役者になりたい”なんて考えたこともなかった」そうで、オーディションに応募したきっかけは友人からの勧めだった。「“女性、ネイティブ・アメリカン、運動神経がいい、頭がキレる”って役の概要が投稿されていて、みんなから一斉に“これ、アラクアじゃん!”って連絡が来た」と振り返る。メイキング映像の中でも、「耳の不自由なネイティブ・アメリカンの役のオーディションがあることを友人が教えてくれた。断ったんだけど、その後も2人の友達が勧めてきて応募することにしました。応募して3カ月後にこの役をもらえることが決まったけど、俳優になるなんて思ったこともなかった」と、役が決まってもまだ“俳優”ということには実感がなかったようだ。
「ホークアイ」の監督を務めたのは“バート&バーティ”のユニット名で知られる女性監督コンビ、アンバー・フィンレイソン(バート)とケイティ・エルウッド(バーティ)。この2人も「この作品(『ホークアイ』)に登場させるキャラクターで一番楽しみだったのが“エコー”、つまりマヤでした。彼女を作り上げていく作業は最高だった。アラクアという新人俳優を起用したのですが、彼女が演技に慣れていく過程を見られて良かった。演技経験がない人を起用するのは不安だったけど、アラクアはオーディション用の動画でこの役をどれほど演じたいかを訴えてくれました。時々、カメラの前に役者が立つと、見ている全員が息を飲む瞬間が生まれます。彼女は素晴らしいスター性を持っている」と、未知なる才能を秘めた新人俳優が、撮影期間の中で開花し、覚醒したことを絶賛している。
ホークアイ/クリント・バートンを演じるジェレミー・レナーも「彼女との共演は特別な経験になった。耳が不自由だから僕らの伝え方も変わる。彼女は演技の経験がなかったけど、アクションの多い役を見事に演じた。彼女は天性の俳優だ。キャラの変化もいい」と称賛し、刺激を受けたと語っている。
コックスは片足が義足ということで、エコー/マヤ・ロペスに“義足”という設定が追加された。「ホークアイ」でのエコーのファイトスタイルは“肘鉄”がメイン。最初はパンチの予定だったが、手話で話すことを考慮し、肘鉄に変更になった。そして総合格闘技や空手などを取り入れ、凶暴さを感じさせるエコーのスタイルが完成。また、新作の「エコー」では鋭い足技を中心とした体術を披露。「初めての演技の世界は全てが新しい体験でした。この役を演じられたことを誇りに思っています。障がいがあっても可能性は無限大とみんなに示したい」と語った通り、「ホークアイ」を経て、今回、コックスは自身が主演のドラマシリーズで“俳優”として帰ってきた。
私生活でも2023年に第1子となる男児を出産するなど充実している彼女が、“マーベル・スタジオ前代未聞の過激作”と言われている本作でどんな衝撃を与えてくれるのか楽しみだ。
「エコー」は、1月10日(水)にディズニープラスで全5話一挙独占配信。
◆文=田中隆信
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