コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、竹屋まり子さんの『あくたの死に際』(小学館)をピックアップ。
裏サンデーとマンガワンで連載されている本作は、休職中の社会人が夢だった小説家になるためひたむきに挑戦する姿を描き話題に。登場人物たちのリアルな心情描写も反響を呼び、10月19日に作者がX(旧Twitter)に第1話「或阿呆たちの再会」を投稿したところ1.3万以上の「いいね」が寄せられている。この記事では作者である竹屋まり子さんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
大企業に勤め、周囲からも頼りにされる31歳の会社員・黒田マコトは、恋人との関係も良好ですべてが順風満帆な生活を送っていた。ある日、会社に向かう電車内でとある中吊り広告が目に入る。それは、大学時代の文芸部の後輩で一躍売れっ子小説家となった黄泉野季郎が書く最新作『月に橋を架ける』だった。
今日まで順調に思えた自分の人生だが、黒田はなぜか電車を降りたあとで突然会社に行く道がわからなくなってしまう。実生活の小さな積み重ねによって、自分でも知らぬ間に心を病んでいたのだった。その日から休職し療養に励むも、周囲から掛けられる言葉にさらにプレッシャーを感じる日々。そんな中、健康のために街を散歩していると偶然にも道端で黄泉野と再会する。しかし出会って早々、黒田は黄泉野の目の前で気を失って倒れてしまう。
その後、黄泉野の自宅に連れられ、やっと目を覚ます黒田。互いの近況を話す上で今は休職中であることを明かすと自身の情けなさや愚痴をありのまま黄泉野へとぶつけはじめる。しかし黄泉野はそんな黒田を軽くあしらい、会社を辞めて前みたいに小説を書けばいい、と言葉をかけるのだった。
「俺には才能がない」と初めこそ拒否していたものの、徐々に黄泉野への嫉妬や憎しみを滲ませる黒田。その後も黄泉野からさまざまな言葉で焚き付けられた黒田は再び筆をとることにするが、それは辛く困難な道の始まりで…。
小説家への転向を決めた黒田の険しく苦しい道のりと共に、作家として生きていく中での葛藤や嫉妬、情熱など人間味あふれる姿をひたむきに描く本作。そんな“社会人の再挑戦の物語”が夢を追う全ての人に響くと話題を集め、X(旧Twitter)上では「震えるほど面白い!」「淡々としながらもすごいエネルギーを感じる」「登場人物たちの感情や言葉が励みになった」「葛藤の中に狂おしいほどの熱がある」「情熱に圧倒されました」「夢を追う人には絶対刺さる」など読者からの反響の声が多く寄せられている。
――『あくたの死に際』を創作したきっかけや理由があれば教えてください。
ジャンルに関わらず創作者ってみんな本当に魂削っててかっこいいなー!と常日頃から思っていて、でも現実的には上手くいかないこともあるよなーとか色々と…悶々考えてたら描いていました!
小説を題材に選んだのは小説家さんにずっと憧れがあったからです。
――社会人生活で心を病み、再び小説と向き合うことになる黒田マコトと売れっ子小説家・黄泉野季郎、それぞれのキャラクターはどのように生み出されたのでしょうか?
私も以前会社勤めをしていたんですが辛くなってきて、ある日漫画家やってる幼馴染に「もう会社行きたくないよー!」って泣きついたんです。
そしたらその子に「じゃあ漫画家になりなよ!!」って言われて、「私なんかなれないよ!!」「いやなれるよ!!」「ほんとか!?じゃーそうする!!」ってその流れで私も漫画家になりまして…。
その出来事を大元にめちゃくちゃこねくり回して黒田と黄泉野を作った感じです。
――本作では、淡々と物語が進む中でも登場人物たちの言動や表情描写に内側からみなぎる情熱がひしひしと感じられ、圧倒されるほどでした。本作の作画の際にこだわっている点や「ここを見てほしい」というポイントがあれば教えて下さい。
作画ほんとに苦手なんです。画力やテクニックがない自覚があるので、もうなんか魂で訴えかけるしかないな!!と思って…大事なシーンでは、ちゃんと登場人物の魂が剥き出しになっている絵になっているか?感情がキャラの皮膚を突き破って表に出てきているか?を意識しながら描いています。意識してるだけであって、できていないのであまり見ないでほしい。
セリフも、お前それ本当に魂から言ってる?と脳内でキャラ達に詰問しながら書いています。こわ…。
――生き様をすべてさらけだしながら夢を追う黒田の姿に読者から反響や共感の声が多く届いていますが、竹屋まり子さんが本作に込めた想いや物語を通して伝えたいテーマなどがありましたらお聞かせください。
読んでくださった皆さんがそれぞれ感じたことがテーマなのかなって思います!
――本作の中で特に思い入れのあるシーンやセリフはありますか?
どこでしょうか!?難しい…。
周りから言われるのは圧倒的に、5話で幸田という編集者が黒田の原稿を初めて読むシーンなんですが…私はその次のシーンの幸田が「あっ」て涙ポロリするシーンが気に入ってるかもしれないです。これ誰かにやられたら嬉しいだろうなって。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。
感想や応援の言葉、単行本を買ってくださったり…いつもとても力になっています!
これからも頑張りますのでまた読んでやってください!
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