本作の見どころは何といっても、ひまりが奇妙な同居生活を送ることになる3人の美青年の魅力溢れるキャラクターだ。一体、彼らは何者なのか。1月5日に放送された第1話では、その正体が明らかとなった。
葵は人間でありながら、ケモ耳あやかしの「鵺(ぬえ)」に変身する百千家の守り主。ひまりとは歳が1つしか変わらないが、高校には行かず、悪いあやかしから屋敷を守っている。当初は天涯孤独なひまりに「君はこの家を出て行った方がいい」と冷たくあしらうが、それは彼女を心配するがゆえの優しさ。見目麗しくどこか儚げな雰囲気を持つ葵だが、悪さをしようとするあやかしからひまりを守ろうとする姿に胸キュンすること間違いなし。
ちょっと世間知らずなところもポイント。17歳なのにスマホの存在を知らなかったり、ひまりと接する距離もやたら近い葵の愛らしい天然ぶりについ振り回されてしまう。挙句にはあやかしから救うためとはいえ、まだ出会って間もないひまりに突然キスする場面も。そんな葵と一つ屋根の下で暮らすことになるひまりもドキドキを隠せない。2人の関係が恋に発展していくのかも、今後の注目ポイントとなるだろう。
また、葵を“御守様”として慕う紫と伊勢のキャラクターも個性的だ。2人は人間の姿をしているが、その正体はあやかし。紫は式神の水蛇(みずち)で、普段は炊事・洗濯・掃除など家事全般を担っている。みんなのお母さん的存在で、冷静な性格と落ち着いた佇まいが魅力だ。一方、伊勢は同じく式神の猩々(しょうじょう)。気性が荒くガサツなところもあるが、仲間を思う気持ちは強く男気に溢れている。三者三様、雰囲気や性格が大きく異なるため、自分の“推し”を見つけやすい。
古くは「ゲゲゲの鬼太郎」から「犬夜叉」、「夏目友人帳」などの人気漫画・アニメ作品でも描かれてきた“妖”。幽霊や妖怪といった人にあらざる者の存在は、私たちの興味関心を惹きつけてやまない。コロナ禍では疫病退散に御利益があるとされるアマビエがブームとなったが、彼らは人に害を及ぼすだけの存在ではなく、人間と妖怪が共存する世界に憧れを抱いている人も多いだろう。
そんな憧れの世界――ひまりと葵やあやかしたちとの驚きに満ちた日々が、最新のアニメーション技術による壮大で美しい映像で映し出されていく。特に第1話で見応えがあったのは、葵があやかしを退治する場面だ。ひまりに襲いかかるおどろおどろしいあやかしとは対照的に、鵺に変身した葵は神々しい光を放つ。闇と光のコントラストが幻想的な世界観を作り出しており、思わず見惚れてしまった。辻田絢菜と狐野智之が手がける神秘的な劇伴も、この不思議なストーリーに色を添えている。
「ファンタジーはちょっと……」と敬遠している方もご心配なく。これまであやかしとは無縁だったひまりのフィルターを通しているため、奇奇怪怪な世界観も意外にすんなりと受け入れられる。また前述した通り、恋愛要素も絡んでくるので、恋愛ドラマは好きだけど、ありきたりな展開には食傷気味という方にもおすすめだ。本作の放送はまだ始まったばかり。U-NEXT、ABEMA、アニメ放題では1月5日より毎週金曜24時配信。1月8日より他各配信サービスでも順次配信開始となっているので、ぜひ今からでも第1話を遡って観てほしい。
■文/苫とり子
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