2023年、ストリートスナップ動画がSNSでバズり、大きな注目を集めた経営者・森下直哉氏。インスタグラムやYouTubeでは、クラシックカーや店舗デザインなど、好きなものや仕事に対して、少年のように夢中に取り組む様子を発信し、多くの人の支持を集めている。そんな彼の初の著書『僕の魅力の醸し方 仕事はしっかり、好きなことも全力で』が発売中だ。半生と経営者としての思考を切り取ったエッセイ。その制作秘話を森下氏に聞いた。
――インスタグラムではたくさんの人が表紙の写真と共に購入したことを発信されていました。グラビアもどれも素敵な写真ばかりですね。
本当にみんな写真を上げてくれてありがたいです。撮影は8月に地元の滋賀近辺で行いました。カメラマンさんやヘアメイクさんなど、スタッフさんの年齢も近くて、めちゃめちゃ楽しかったですね。ロケバスで地元を回るのは、有名人ごっこをしているような感覚でした。
――直哉さんのお気に入りの一枚はどれですか?
後ろ表紙をめくったところにある、ハットをかぶった写真ですかね。カメラマンさんがカメラを振りだして、僕に「踊ってください」って言うからわけも分からず踊って、僕もカメラマンさんもめちゃめちゃ動きながら撮った一枚。だから光とか背景とかがぶれてるの。こんな写真が撮れるなんて思わないから、現場で見せてもらったときは感動しました。
――本書では、滋賀から東京に出て、飲食店での勤務、独立までの半生を明かしていますが、改めて自身の半生を振り返って思うことはありましたか?
30歳で独立して5~6年走ってきましたけど、スピード感と結果論でいうと、まだこのレベルなんだなと。飲食店勤務時代も必死だったけど、独立してからはさらに死ぬ気で頑張ってきた。ここから次の5年、同じ手法で仕事を続けるのは、体力的にも会社の成長という面でもしんどいなと改めて感じました。
――過去を振り返り、既に未来のことを考えていらっしゃるんですね。具体的にはどんなことですか?
今までの仕事はわりと僕と身近な人だけで完結していて、外部に頼らずやってきたんですね。もちろんそのやり方が間違っていたとは思わないけど、もうそれを続けるメリットがないと思って。例えば会社でいうと売り上げということになるんだけど、同じことを続けても同じくらいしか売り上げは立たないのが目に見えているじゃないですか。だから、それはもうやめて、強い人たちと仕事をしようと。
――もう次のフェーズに入っていると。
僕一人でひとつの会社を立ち上げるとなると、軌道に乗るまで1~2年かかる。でも、力のある人と組めば、一年でいくつも会社を立ち上げられる。かつての僕は、ある種、投資を受けることに対してダサいというような思いがあったんだけど、今はそういう考えがダサいと思うようになった。同時に、2023年は僕自身の存在価値のようなものを世に示すことができたと思っているので、僕と一緒に仕事をしたいと言ってくれる人も出てきた。それならその人たちと一緒に何かをする方が、早いし楽しいだろうなと。
――これまでとは真逆のことをしてきたいと考えるようになったということですね。
この本にも書きましたけど、僕、居心地のいい場所にとどまることが嫌いなんですね。そこにいても成長がないから。だから自ら環境を変える。仕事のやり方もそうだけど、2023年は東京で家も借りたし、イヌも飼い始めました。次の5年も新しいことをどんどんやっていくつもりです。
――インスタグラムでも愛犬・エランちゃんとの日常を公開されています。
かわいいでしょ。オーストラリアンシェパードとスタンダードプードルのミックスでオージードゥードゥル。メスで名前はエランです。まだ5カ月くらいだけどもう10kgを超えてますよ。実はこの子230万円もします(笑)。前から飼いたいと思っていて、オーストラリア現地の人と連絡を取り合っていたんですね。最初、別の子で800万円と聞いて諦めようとしていたんだけど、80万円でいるという連絡をもらって、高いけど買えないことはないなと。それから諸経費が加算されて結局230万円。値段を自慢したいわけじゃなくて、犬に230万円もかけるバカさを笑ってほしいし、海外から輸入するという経験も面白いなと思って。
ドッグランではよく「珍しい子ね」って声をかけられるけど、説明するのがややこしいし、金額を言っても自慢に聞こえるので、「雑種です」って答えてます(笑)。そうすると、「きれいな雑種ね」って言われますね(笑)。
しつけ教室にも通っていて、先生から「イヌは賢いんだから、飼い主がちゃんとしなきゃだめよ」「ダメイヌなんていないの。飼い主がダメなの」って怒られながら(笑)、エランとの生活を楽しんでいます。
――最後に、2024年はどんな年にしたいですか?
飲食業や車の販売など、仕事でも新しい挑戦はしていきますが、書籍の先というか、メディアの案件をしたいという気持ちはあります。でも、タトゥーがあるとテレビは難しいですからね。ここからのブランディングがすごく大事だと思っています。所ジョージさんとか、長瀬智也さんのように、趣味を貫いて支持を集めているのはかっこいいですよね。本物志向で生きていきたいです。
取材・文=小田島瑠美子
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