――楽しむというスタンスは、お仕事を始めたときからですか?
そうだね。好きだからこの仕事をやっていたからね。みんな「ギャラがいいんでしょ?」って言われるけれど、思っているほどそんなにすごく良くもないし。お金欲しいなら青年実業家とかそういう方が金は稼げるし、プライベートもあるじゃない。やっぱり好きだからやっているので、楽しまなきゃ損だよね。
――参加した作品が、誰かの人生に影響を与える……みたいなことも俳優の醍醐味ではないでしょうか?
どうなんだろうね。そう思ってもらいたいと感じたことはないよ。作り手のうぬぼれになっちゃうから。
――でも感想をもらえると励みになるということはないですか?
まあね、それはありがたいけれど。でもよく「『スクールウォーズ』観てラグビー始めました」とか声を掛けてもらえるけれど、「ゴメン、俺ラグビーボール刺して潰していた方で、ラグビーやっていないから」ってことだし(笑)。「『ビー・バップ・ハイスクール』観て、ヤンキーになりました」って言われても「良かったな」って言えねえだろう(笑)。まあ、そんな感じなんだよね。でも、芝居が楽しいというか、それをひっくるめてモノを作るという行為が楽しいのかもしれないね。
――映画監督もやられていますよね。
あれは俺がやりたくてやっているわけじゃないんだよね。いまはコンプライアンスってうるせーから、大手では作れないものを作っているだけで。いまや死語になっているかもしれないけれど、Vシネマってあったでしょ。東映がやくざ映画作れなくなったから、Vシネマがやくざ映画のパートを担ったということもあるじゃない?
――これまで40年間の俳優生活で、やめてしまおうって思ったことは1度もないのですか?
やめちゃおうというか、ほかに楽しいことが見つかったら、未練なくそっちに行くと思うよ。俺は考古学の勉強しているのよ。そっちの道ができたら、別に役者にこだわらず、スパッと行けるぐらいの身軽さはあるよ。
――考古学ですか?
勉強しているの。あとはどこかの大学の客員教授の肩書をもらえればいいなと。
――考古学の魅力はどこにあるのですか?
考古学は究極のエンターテインメントだよ。俺ら映画作っても、「予算全然回収できていません。どうするんですかこの赤字」とか言われるじゃない。でも考古学って、損得じゃないところがあるから。例えばクレオパトラって史実には残っているけれど、銅像も壁画もない。見つけるために世界中の人が、いろいろなところを調査しても、見つからないことがほとんど。でもそれで「どうすんだ、費やした予算は!」なんてことにはならず「しょうがないよな」ってなるでしょ。逆に見つかったとしても、お金出した人の元にはいかず、博物館に行っちゃう。まさに名誉だけ。それって究極のエンターテインメントだしロマンだよね。
――そんな野望も?
まずは客員教授の名刺を持って、バミューダ海域のスペインの財宝だよね。1発当てればニュースになる。スポンサー来るから(笑)。
――好奇心は尽きないのですね。
それが楽しいじゃない。でも言っているだけじゃなく、現実にするにはどうしたらいいかを考えている時間も楽しい。その方が生きていても楽しいでしょ。