通勤電車から見えた川に浮かぶ人の頭とは…”多摩川”を舞台に怪奇に巻き込まれるオムニバス漫画に「東京住みじゃなくてよかった…」の声

2024/02/16 18:30 配信

芸能一般 インタビュー コミック

多摩川を舞台に繰り広げられる怪奇現象が話題画像提供/zinbeiさん

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、zinbeiさんがX(旧Twitter)に投稿した『多摩川三篇』をピックアップ。

作者のzinbeiさんが11月10日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ反響を呼び、3千以上の「いいね」が寄せられ話題を集めている。この記事では、zinbeiさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

もう多摩川は通れない⁉多摩川のイメージが大きく変わる!

『多摩川三篇』より画像提供/zinbeiさん

通勤中、満員電車の中で私は多摩川に浮かぶ人の頭を見つけた。その頭はそれから毎日、同じ場所にあり、同じ方向を向き、退勤時でも同じだった。多摩川は人が肩までつかることの出来るほど深くない。私は気のせいだと思い、どうしても確かめたかった。そして、日常に戻りたかった。するとそこには、人の頭が。わたしはぞっとした。すると人の頭は消えてしまった。たしかに人の頭と目はあったが、それからどこを探しても人の頭は見つからなかった。
疲れがたまっていたのかと思い、家に帰りお風呂に入ろうとすると…。お風呂の中には人の頭があったのだった。

私は川沿いで、チェリングを始めてから一カ月がたった。ひと気のない場所だったが、顔見知りのおじさんができた。片手には必ず道具箱が握られており、その人は毎日河原の奥に消えていった。そして、1時間たらずで泥だらけになって帰ってくる。ある寒い朝、私はおじさんに「やっぱり朝は農作業が捗りますか?」と聞くと、おじさんは「農作業?私は反省してるんです」と言われた。私は謎がが生まれたが、おじさんは「でも実は今日反省し終わったんです!10年以上かかりましたよ」と言い去っていった。私は、もうおじさんが二度と現れないと思い、その人がいつも通っている場所に向かっていった。そこにはたくさんの風化された土饅頭があった。わたしはそれから、チェアリングの場所を変えたのだった。

ある朝突然、螺旋階段が現れた。その螺旋階段は、一晩で現れたということ以外不自然な場所は無かった。そして、その螺旋階段は違法建築として撤去されることになった。謎が何も解明されなかったので、最後の見納めとして夜中に私たちは侵入してみた。螺旋階段の上はよく多摩川が見え、私たちはそこで写真を撮った。すると、そこには見えてなかったスイッチが映り込んでいた。その写真を手掛かりにスイッチを押してみると、夜中に来たはずが世界は明るくなっていた。私たちは街をさまよったが、人影などはなく、ただ多摩川の水だけが流れていたのだった。

多摩川を舞台に、3つの謎めいたストーリーが描かれた本作。ネット上では「多摩川の見る目が変わってしまった…」「と、東京住みじゃなくてよかった…」「やばい、多摩川近い…」とリアルなお話に怖気ずいてしまった声や、「続きが気になりすぎる!」の反響が続々と寄せられた。

「多摩川は親しみがあり、好奇心を掻き立てられる川」作者・zinbeiさんの語る創作の裏側と展望

『多摩川三篇』より画像提供/zinbeiさん

――『多摩川三篇』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

知り合いの作家さんから、同人誌でホラー漫画アンソロジーのゲスト原稿の執筆にお誘いいただいたのがきっかけです。

――『多摩川三篇』 の中で気に入っているシーンがありましたら、理由と共にお教えください。

一篇の冒頭、満員電車の中から多摩川を見下ろすシーンです。会社員時代に全く同じ状況で通勤しており、主人公と同じように多摩川を見下ろしていたのでとても思い入れのある光景です。

――日本には多くの河川がありますが、その中から多摩川を選んだ理由をお教えください。

かつて多摩川の走る街に住んでいたのですが、自分にとって一番身近で親しみのある川であり、同時に広大なあまり未知な領域が多く、好奇心をかきたてられる川でもあったためです。

――zinbeiさんの作品には多くのファンの方からの反響が寄せられていますが、印象に残っているコメントなどありましたら理由と共にお教えください。

三篇の物語について、「(らせん階段が)撤去されるという事は、恐らく帰る道も無くなるのだろうな。」というコメントを頂いたのですが、まさに鋭いご指摘でうれしかったです。あの二人は現実の世界には二度と戻れません。

――zinbeiさんの今後の展望や目標をお教えください。

連載中の『酒と鬼は二合まで』『ほろ酔い道草学概論』の執筆はもちろん、商業・自主制作を問わず、これからも面白い・良い作品制作に励んでいきたいと思います。

――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。

まだまだ至らぬ点の方が多いような作家の端くれですが、一生懸命頑張りますので、これからも長い目で暖かく見守っていただけましたらうれしいです。