【テレビの開拓者たち / 矢延隆生】「お台場みんなの夢大陸」団長が明かす 明石家さんまとの不思議な因縁

2017/08/13 06:00 配信

芸能一般

「プロ野球ニュース」(1976~2001年)や「すぽると!」(2001~2016年)、競馬番組「うまッチ!」(2005~2006年)など、フジテレビの人気スポーツ番組を多数手掛けてきた矢延隆生氏。いろいろなスポーツを幅広い層に楽しんでもらうために工夫を凝らしてきたという彼が、番組作りで最も大切にしていたこととは? ある時はバーテンダーとして、ある時は歌手(!)として、自ら表舞台に出て番組を盛り上げる彼の、テレビマンとしてのポリシーを語ってもらった。また、意外な接点がある因縁の人物・明石家さんまとの知られざるエピソード、さらに、昨年から引き続き“団長”を務めるフジテレビの夏イベント「お台場みんなの夢大陸2017」の目玉企画も紹介してくれた。

出たがりじゃないんです。「出ろ!」と言われたから仕方なく…(笑)


やのべ・たかお=1964年4月21日生まれ、大阪府出身


――矢延さんがテレビマンとして最初に携わった番組は?

「1992年に中途採用でフジテレビに入社して、まずは『プロ野球ニュース』のADからスタートしました。日々、新聞記事を切り抜いたり、進行表のキューシートを書いたりしてましたね。そのころの『プロ野球ニュース』は1時間の生放送で。テレビの世界のことを何も知らなかった自分にとって、生放送の現場は、テレビの仕事を基礎から学ぶ場としては、すごく役に立ったと思います。

他にも、バラエティー番組の収録を見に行って、スタッフがどんなふうに動いてるのかをチェックして参考にしたり、自分なりに努力はしていたんですが、特にいい経験だったなと思うのは、オフシーズン企画の1コーナー。明石家さんまさんと、当時番組のキャスターを務めていた中井美穂アナのコンビで、僕はフロアディレクターを担当することになったんです。ディレクターがノリで『“スポーツバー”のセットにしよう』と言い出したせいで、僕がバーテンダーになって、出演者の方たちにカクテルを作ることになって。デパートでレシピ本を買って、毎週スタジオに来るスポーツ選手にちなんだカクテルを考えてました。武豊騎手がいらしたときは、確か…『ホース』とか何とか、そんな感じの名前のカクテルを作った記憶があります(笑)。ともかく、フロアディレクターのインカムをつけたまま、蝶ネクタイ姿で、みんなにカクテルを振る舞っていたという…いや、別に出たがりっていうわけじゃないんですよ。先輩たちに『出ろ!』って言われたから仕方なく、です(笑)」

――さんまさんと一緒にお仕事される中で、学んだことは?

「さんまさんはご存じのように、生放送でも構わず、自分がしゃべりたいことをずっとしゃべる人で(笑)。当然どんどん時間が押してくるわけですよ。そうすると、用意していたVTRを飛ばして、次に行かないと番組が終わらない。だから、いつも構成がめちゃくちゃになるんです。そんなとき、フロアディレクターやディレクターはどう対応すべきなのか、他のスタッフはどう動くべきなのか。全て限られた時間の中で判断しないといけないので、かなり鍛えられましたね。そして何よりも、さんまさんとお付き合いさせていただく中で、出演者とスタッフとの信頼を築くことの大切さを学んだ気がします。ただ実は、さんまさんとはこのときが初めての出会いではないんですよ」