<百千さん家のあやかし王子>葵と幼馴染との“優しさ”と“せつなさ”が溢れるエピソードに「胸が締め付けられる」の声

2024/02/05 18:30 配信

アニメ

日高と葵の別れにせつなさが溢れる


テレビアニメ「百千さん家のあやかし王子」第5話より(C)2023 硝音あや/KADOKAWA/百千さん家のあやかし王子製作委員会


日高に取り憑き、近づく者に災いをもたらす管狐。しかし、それはただのいたずらなどではなく、ある理由があった。

もともと、日高家は「憑き物筋」と呼ばれ、代々狐のあやかしを使役する家系で、祖父の代まではその姿が見えていたという。しかし、以降は力を失い、日高にも管狐の姿は見えていない。その寂しさから、管狐は自分の存在に気づいてもらうために力を誇示していたのだ。

百千家の敷地内に入ったことで管狐の姿が見えるようになった日高は優しく語りかける。なぜなら、日高にはその気持ちが理解できたから。相手に必要とされたい、自分の存在を認めてほしい。それは人間もあやしも同じなのかもしれない。日高に自分の気持ちを受け止めもらえた管狐は、満足したように消えていった。

管狐は最後に日高から奪った大事なものを返す。それは葵の面影であり、日高はようやく葵の顔と名前を思い出すことができた。だが、日高はその記憶を全て忘れてしまう。現世で生きる日高と、限りなく幽世に近い場所で生きる葵。そこには大きな隔たりがあり、二人の人生はもう交わることはない。自分のことを忘れてしまうとわかっていても葵は抗わない。それは、自分の面影に苦しまず生きていってほしいという葵なりの優しさだった。

葵と日高の後味引くエピソードが優しく淡いタッチで描かれ、切なさを増した第5話。葵が抱える寂しさや諦念も身に沁みて感じたこの回に、視聴者から「日高くんと葵…かなしい回だった」「葵はこれでいいのかなぁ…」「根底にある葵くんの優しくてさみしい気配が穏やかな中にも漂っていて毎回胸が締め付けられる」という感想があがった。

■文/苫とり子