森崎ウィン、オファーの大転機『レディ・プレイヤー1』が繋いだ“ガンダム”との縁と恩返し

2024/02/09 08:30 配信

アニメ コラム

森崎ウィンが、劇場アニメ『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』にて、新興国家ファウンデーションの若きエースの1人グリフィン・アルバレストを演じている。※提供写真

俳優の森崎ウィンが、1月26日から公開中の劇場アニメ『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』にグリフィン・アルバレスト役で出演している。映画は公開10日間で興行収入19億円を突破する大ヒットを記録している。劇中で、森崎演じるグリフィン・アルバレストは物語を動かす重要な役をになう。現在は映画、ドラマ、舞台で多岐にわたる活躍をする森崎だが、その転機となったのはハリウッド映画『レディ・プレイヤー1』への出演。そこでガンダムに乗り込んだのも大きな話題になった。『ガンダム』が繋いだ縁、人生が変わったその瞬間には何があったのか。森崎ウィンに『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』について語ってもらった。

森崎が演じるグリフィン・アルバレストは強い信念を持つ若きエース

(C)創通・サンライズ


――(取材当日は1月中旬)『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』公開直前です。現在の心境はどのようなものですか?

いよいよこのときが来たか、と。ついに封切られるということで、ワクワクしながらも少し緊張気味の自分がいるというのが正直な感想ですね。

――やはり出演作の公開前というのは緊張感があるものですか?

そうですね。特にオープニングウィークは気になります。皆さんがどういう感覚で受け入れてくれるのか、気が気でないというか。

――ひと足早く映像をご覧になった感想はどうでしたか?

実は仕事の関係でアフリカ滞在中に観たんですよ。『SEED FREEDOM』の冒頭でアフリカ辺りを思わせる台詞があって、まさにその台詞を受けながらアフリカで観るっていう。そうした縁を改めて感じたのと、3DCGが本当にすごいですね。作品全体としては“ガンダム”をそこまで追ってこなかった自分でも受け入れやすく、一方で今の社会に対して非常に深いメッセージ性を感じました。

――森崎さんが演じるグリフィン・アルバレストはどんなキャラクターなのでしょうか?

ファウンデーションという新興国家の若きエースの1人と言いますか、戦闘能力も非常に高く、強い信念を持って戦いに臨んでいる。自分が生きる意味を考えて戦う。そういう性格のキャラクターですね。

森崎の引き出しを瞬時に見抜き、引き立てた福田監督のすごさ

劇場アニメ『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(C)創通・サンライズ


――グリフィンを演じるにあたって注意した点、参考にした映像などはありましたか?

初代の『機動戦士ガンダム』を観直しました。前に観たのがずいぶん昔なので記憶を手繰り寄せる意味で。なので、正直今回に繋がることが大きくあったわけではないですが、“ガンダム”の世界観を思い出したり、台詞の言い回しを確認したいというのがあって。やっぱり“ガンダム”のそういうのって独特じゃないですか。それに耳慣れをしておこうと思いつつ、だったらなぜ『SEED』を観直さなかったのか自分でも謎なんですが(笑)。性格的にルーツを探りたくなるんですよね。

そうした形で自分なりに準備はして臨みましたが、実際それが現場でどれだけ役に立ったかというと、ほぼ皆無です(笑)。声だけで全てを表現するというのは本当に難しい。保志総一朗(主人公キラ・ヤマト役)さんはじめ、皆さん色々なパターンですごい芝居をされて、僕は置いていかれないように出されるリクエストに応えていくのが精一杯。実写とは全然違います。

――福田己津央監督とは、役や芝居についてどんなお話をされたのでしょうか?

休憩中、僕が1人でいたら隣に来てくださって。「自分では上から目線で強く発しているつもりでも、一生懸命すぎると逆に弱く感じたりするもんだよ」「実写だったら表情や動きで表現の幅を出せるけど、声だけ、耳だけで聴くとそういう音になりがちなんだよ」とか。そういうことをさらりと教えてくださったのが印象に残っています。音っていうのは自分が思っている以上に聴こえ方が変わるものなんだと知りましたし、力強く言えばオッケーなわけでもないんだということを学ばせてもらいました。

――アドバイスの中身も実写とは違う感じですね。そういうところで感じる福田監督のすごさとはどういうものでしたか?

僕の勝手なイメージで、福田さんはけっこう怖い方なのかと思っていたんですよね。“ガンダム”という歴史あるシリーズの監督をされていて、僕なんかは特に声優の現場を分からない人間ですから。でもそんな雰囲気は全くなく、僕の持つものを瞬時に見抜いて、引き立てていく能力みたいなものがすごいと思いました。

正直比べるのもおこがましいですが、僕もWOWOWの『アクターズ・ショート・フィルム4』で監督をさせていただいているんですね。演出をする上で自分の持っていきたい画(え)に行くには役者の適性というか、その俳優さんにヒットするポイントを作る必要があると痛感しているんですが、僕はそれがまだ掴めず。やっぱり長く仕事をされている監督の技と言いますか、福田さんの技に乗せられている自分がいるのをすごく感じました。