<異修羅>リチア周辺に集まる“修羅”たち。一触即発な状況に「この爆発直前みたいな雰囲気最高!」と反響多数

2024/02/09 22:00 配信

アニメ レビュー 編集部おすすめ

テレビアニメ「異修羅」第6話より(C)2023 珪素/KADOKAWA/異修羅製作委員会

「諜報員」のラナの上をいく「盗賊」のダカイ


レグネジィとダカイが対峙していたそのころ、タレンとカーテはともに夕食を取っていた。レグネジィに危険なことをさせないで欲しいと頼むカーテに対して、レグネジィの任務はいつでも危険なものばかりだと告げ、リチアの現状について語るタレン。タレンやリチアの人々の平和を願うカーテは、戦争の足音がしのび寄る現状を憂いつつも、そのあとに訪れるであろう幸せな未来を信じるしかないのだった。

タレンとカーテの会話劇が繰り広げられる夕食シーンでは、カーテがレグネジィのことを「人々を救う天使」だと信じたがっていることや、自分をひろってくれたタレンを母親のように慕っていること、タレンはカーテを利用しつつも、少なからず親愛の情を感じていることなどが明らかになった。とくに印象的なのは、タレンのことを「お母さん」と呼びたいカーテと、それを拒むタレンの関係性だ。表向きの通り、レグネジィを動かすためだけにカーテを匿っているのが本当なのであれば、彼女の好きに「お母さん」と呼ばせて懐柔してしまうのが最善のはずだ。それを「実の母に悪い」との理由であえて距離を取っているのは、タレンなりに誠実でいようとする姿勢の表れなのか、あるいはカーテを争いに巻き込ませないためなのか、それとも自分が戦死してしまう可能性も考えてのことなのか。レグネジィとカーテの関係もそうだが、『異修羅』はこういった繊細な関係性の描写が随所に効いていて、よりいっそう人間ドラマの魅力を引き立たせてくれている。

テレビアニメ「異修羅」第6話より(C)2023 珪素/KADOKAWA/異修羅製作委員会

エレア、キア、ラナ…それぞれのキャラクターの魅力が炸裂


エルフの村を出発し、黄都へ向かっていた赤い紙箋のエレア(CV:能登麻美子)と世界詞のキア(CV:悠木碧)のふたりは、途中でリチアに寄り道をする。エレアはここで、キアにつながる情報をもつ唯一の存在を暗殺するため、公園で内通者と落ち合う。その内通者とは、タレンの信頼も厚い諜報員、月嵐のラナ(CV:花守ゆみり)だった。ラナを殺すチャンスを伺うエレアだったが、思いがけずキアが合流したことで機会を失ってしまう。キアが寝たのち、再び暗殺を試みるエレアは、キアへのお土産を買いに出たラナを尾行。ところがそこに、すべてを調べ尽くしたダカイが登場し、ラナは内通者として馬車に乗せられてしまう。このままではラナを通して自分も捜査対象になってしまうと危惧したエレアは、眠りから覚めたキアに対し、「ラナが賊にさらわれました 助けにいかなくては」と告げるのだった。

“エレアの殺意”という背後に流れる緊張感はありつつも、表向きはなんとも微笑ましい交流が描かれたパート。初めの都会にテンションが上がるキアの無邪気っぷりをはじめ、馴染みの同僚でさえ殺そうとするエレアの冷徹さ、意外と面倒見がよくてお姉ちゃん気質なラナなど、それぞれのキャラクターの魅力が爆発した。とくにラナはこれまでに見せていなかった新たな一面とバックボーンが描かれており、彼女もまた平穏な暮らしを望むひとりの人間に過ぎないことが分かる。しかし、こうしてラナへの好感度が上がった瞬間、ダカイの登場によって雰囲気は一気に暗転する。ダカイの調査・推理能力は本当に凄まじく、優秀な諜報員であるはずのラナがまるで歯が立たないレベル。公式HPにあるダカイのキャラクター紹介には、彼のタレントについて「個人が抱える秘密や謀略を必ず暴き」という文言があるが、今回はまさにその本領をまざまざと見せつけた形と言える。彼が「剣士」ではなく「盗賊」であることにこだわる理由に納得させられたとともに、現時点では総合力No. 1なのではないかと思わせてくれた。そして、そんな「第六話」を締めくくるエレアのモノローグにも注目だ。ラナを連れて走る馬車を追いかけながら「可能だろうか キアの全能の詞術なら 一切の痕跡を残さずラナを殺し このリチアを脱出することが 可能だろうか」と、これまでにないほどに超シリアスな雰囲気で語るエレア。このセリフがあることで、次回へのワクワク度が爆増したのは間違いない。それほどの名芝居&名セリフだったように思う。

「第五話」までに登場した強者たちが一気に登場した「第六話」。これまでに紹介されてきた強者たちの多くがリチア周辺に集まってきたことで、いよいよ誰と誰が接触しても不思議ではない状況になってきた。SNSでは「この爆発直前みたいな雰囲気最高!」、「ダカイ、有能すぎる 有能でイケメン、ズルすぎる」など、さまざまな感想が見受けられた。さて次回「第七話」は2月13日(水)放送予定。ついに盛大に動き出した物語は、いったいどんな展開を迎えるのか? 期待して待とう。

※朴ロ美のロは、王へんに路

■文/岡本大介

テレビアニメ「異修羅」第6話より(C)2023 珪素/KADOKAWA/異修羅製作委員会

関連番組