コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は作者・秋野ひろさんの『コップがないときに使える、最高に雑なライフハック』をピックアップ。
洗い物が溜まっていて使えるコップがないときのオススメの代用品を、ユーモアを交えて紹介する本作。12月5日に作者がX(旧Twitter)に投稿したところ9500以上の「いいね」が寄せられ話題となった。また、秋野さんは本作以外にも『丁寧ならぬ暮らし』シリーズとしてさまざまなライフハックをSNSで公開し注目を集め、2023年12月からは東洋経済オンラインでの連載がスタート。そのシュールさと“ズボラすぎる”アイデアが読者から反響を呼んでいる。この記事では作者・秋野ひろさんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
レモンサワーを作りたいのに、コップが無い。シンクには、使った食器が洗われず置かれたままになっている。でも、いま洗うのは少し面倒…。そんなときに使えるライフハックとして、コップに代わる食器類を紹介してくれるのが「丁寧ならぬ暮らし」のアドバイザー・広野アキ。
広野曰く、まずコップの代わりとなる1つ目は“茶碗類”でオススメ度:星4。もっともオーソドックスなスタイルで、“お茶”腕という名前からも飲み物全般にオススメだという。
2つ目のボウルはオススメ度:星3。お茶碗に比べて少し持ちづらいものの、こちらも使い勝手のいいコップ代用品のひとつ。また、お茶碗が無いときにお米を入れて食べるのもオススメらしい。
3つ目のフライパンはオススメ度:星1。アヒージョなど汁類を入れることもあるフライパンながら、コップとしてはいまひとつなデザイン。フチの角度や重さでこぼしやすいといい、できれば鍋などを使いましょう、とのこと。
最後に、レモンサワーの素がその日飲み切れるくらいの量になった場合、レモンサワーの瓶に直接炭酸水を入れるのが星5級のオススメだという。ラストでは、広野がレモンサワーの大瓶を持ち、海辺を散歩するシュールなイラストで「お散歩のお供にどうぞ」と締めくくられている。
この他にも秋野さんが描く『丁寧ならぬ暮らし』シリーズでは、掃除が嫌になった日やお風呂に入るのが面倒くさい日などにオススメのライフハックが面白おかしく紹介され、話題を集めている。
シンプルでおしゃれなイラストからは想像もつかない“雑すぎる”ライフハックながら、私たちの「怠けたい」気持ちに寄り添ってくれるアイデアの数々に反響が寄せられている本作。X上では「おしゃれな雰囲気で内容めっちゃだらしない。最高www」「丁寧な暮らしに見せかけて怠惰なだけなの草」「ズボラすぎて大好き」「洗えば良いのに洗わないと言う選択、わかります」「(コップ1つくらいすぐ洗えって言ったら怒られるかな…)」など読者からさまざまな声が集まっている。
――『丁寧ならぬ暮らし』を描こうと思ったきっかけや理由があれば教えてください。
うつ病になった友達の部屋の片付けを手伝いに行った日のことが、このシリーズを描くきっかけとして大きい気がしています。
その友達はもともとインテリアとか料理をこだわったり、いわゆる「丁寧な暮らし」をしたい性格だったんですけど、うつ病になってから部屋に物が溢れたり、料理も作れないので食べない日もあると話していて。そこで印象的だったのが、「欲しい棚があるけど今の部屋には置けない」とか、「料理をしようと野菜を買うけど腐らせてしまう」とか、そういうコストが高めの解決法を考えて、それができないことに悩んでいたことでした。
僕はとりあえず、「玄関からベッドまでの障害物をのけて、インスタント食品買い込む」という対応をしたんですけど、本人のやりたい暮らしとは違うんだろうなと思って。でも、「丁寧な暮らし」って正直、もちろんできたら素敵ですけど、多少なり余裕があるときじゃないとできないじゃないですか。だから余裕がないときなりの生活をやるしかないわけですが、自分の生活を振り返ったときに、雑な生活の中にも工夫とか楽しみ方はあるような気がしたんです。
そのときに思い出したライフハックを、楽しく読めるものとして描けないかなと思って、このシリーズを考えました。
――『コップがないときに使える、最高に雑なライフハック』ではまさかの“代用”方法が描かれ反響を集めました。本作に込めた想いがありましたらお聞かせください。
想いを込めた箇所という意味で言うと、1ページ目の「一番の打開策は洗うことですが なかなかそうもいきませんよね」ってナレーションが気に入っています。
2ページ目以降は、自分がこれまで食器を代用したときのことを振り返っているだけですが、フライパンで水を飲もうとしてこぼした思い出がここで報われた気がして嬉しく思っています。
――予想外のライフハックに共感の声も多く寄せられていますが、印象的だった読者からの声はありますか?また、それぞれのライフハックの着想はどこから得ているのでしょうか?
特定の感想が印象的というよりは、人によって極端に感想が分かれるのが面白いなと思っています。
男女問わず、共感したり自分なりの対策法を教えてくれたりする人もいる一方で、「生理的に無理!!!」とか「食事ごとに洗い物してたら溜まることなくない…?」みたいな感想ももらえたりして、人によって生活が全然違うことがわかって良いな〜と思ってます。
ライフハックについては、元気がなかった日の自分の生活を思い返して描いています。絵として面白くなるような演出はしようとはがけていますが、着想を得ているというよりはほぼ実話ですね…。
この記事を両親に見られたときのために言っておくと、常にそんな暮らしをしているというわけではないので安心してください。
――シンプルな線画と配色で描かれるおしゃれなイラストで雑なライフハックを紹介する、というギャップが魅力的な本作ですが、作品をシリーズとして描くうえでこだわっている点や「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
シリーズとして、「しんどいときには実際使える内容を描く」「オチのコマが自分で面白いと思える」というのを守りながら描こうとしています。もともと、見せ方と内容のギャップで笑わせるような作品が好きだったので、めちゃくちゃな内容ほど真面目そうに描ければいいなと思っています。
――本シリーズの中で秋野ひろさんが特に思い入れのあるライフハックはありますか?理由と共にお教えください。
東洋経済オンラインさんに掲載してもらっている2話のオチのコマが気に入っています。
内容としては、『コップが無いときに使える、最高に雑なライフハック』の見せ方を変えて描き直したものです。前フリが1ページ目に来て、次のページを全てオチに使う構成にしているので、大きいコマをふざけながら描けるが楽しいです。
内容としてはレモンサワーの原液と炭酸水を同時に滝飲みしている絵なのですが、たぶん「滝飲み史上最もオシャレそうに描かれた絵」だと思います。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。
今後も、東洋経済オンラインさんやXで新しい回を公開できる予定ですのでよろしくお願いします。
もし皆さんが普段やっている丁寧ならぬライフハックがあれば、X等で教えていただけると幸いです。
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