【漫画】夢は人を殺しかねない…生徒の夢を諦めさせようとする進路指導に「冷たいようで暖かい」「ハイレベルなキャリア指導」の声

2024/03/12 09:00 配信

芸能一般 インタビュー コミック

生徒に現実を突きつけ、夢を諦めさせる“夢なし先生”…(c)笠原真樹/小学館

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、”夢の残酷さ”について描かれた人気作品「夢なし先生の進路指導」(小学館)をピックアップ。

作者の笠原真樹さんが12月29日にX(旧Twitter)で同作の第3話を投稿。そのツイートには合わせて6500以上のいいねと共に、多くの反響コメントが寄せられた。この記事では笠原真樹さんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについてを語ってもらった。

“夢なし先生”と呼ばれる教師の進路指導…

「夢なし先生の進路指導」より(c)笠原真樹/小学館


高校教師・高梨は進路指導の際、生徒の「夢」に対して現実を突きつけ、否定する。そのため、生徒からは“夢なし先生”と呼ばれていた…。

「鉄道の運転士」になるという夢をもつ生徒・伏見に対して、高梨は「夢にはくれぐれも気を付けてください。」と忠告した。

しかし、夢を諦めきれない伏見は、高梨の忠告を無視して夢を追いかけ続ける。その結果、大手私鉄に就職し、社内運転士登用試験などを経て、ついに「鉄道の運転士」になるという夢を叶えた。

「やっぱり、僕の選択は間違ってなかった。」と喜びを噛みしめ、電車を運転していると…

突然、目の前のホームから人が飛び降りてきた…。

“現実を突きつける教師”と“夢を諦めきれない生徒”の姿を描いた本作。読者からは、「理想と現実は違う」「こういう人も大事」「ハイレベルなキャリア指導」「凄く刺さる…」など多くのコメントが寄せられている。

「注意喚起の意味を込めて…」作者・笠原真樹さんが語る創作秘話

「夢なし先生の進路指導」より(c)笠原真樹/小学館


――「夢なし先生の進路指導」を創作したきっかけや理由があればお教えください。

自分自身が漫画家という夢を追いかけ、なんとか漫画家になることができました。しかし、その過程や、現状でも辛いことがたくさんあります。「夢は素晴らしい」「夢を持て」と世間では口を揃えて皆が言いますが、言われた通り夢を持って、頑張って夢を叶えたのになんでこんなに辛いんだ?と思ったのがきっかけです。騙された!と。

これは漫画家だけではなく、他の業界でも同じなのではないか思い、取材をしていくと、やはり皆さん夢に苦しめられています。考えてみれば「夢は素晴らしい」と言っている人達は声の大きい成功者ばかりなので、夢の良い面しかあまり耳に入ってきません。だからこそ、注意喚起の意味を込めて、そこを描きたいと思ったのがキッカケです。

――本作の中で特に気に入っているシーンや「ここを見てほしい!」というポイントがあれば、理由と共にお教えください。

夢のどん底に落ちていくキャラクター達です。描いていて自分と重ねる部分があるので、つい感情的になり、主人公の高梨に「なんとか救ってくれ!」と思いながら描いています。

――「凄く刺さる…」「子供たちに読んで欲しい」など大きな反響がありましたが、コメントを読んだ時のお気持ちをお教えください。

恐らく、刺さった方々は夢で苦労したり、進路で悩んだりした人達なのだと思います。だからこそ共感していただいているのかなと思い、嬉しいです。しかし、「子供たちに読んで欲しい」というのはなかなか難しい気がします。若く、根拠のない自信を持つ若い人達には少し届きづらいテーマなのだと思います。そのため、学校の図書館、または進路指導室にぜひ置いてほしいと思っています。

――笠原さんの学生の頃の夢は、やはり「漫画家」だったのでしょうか。

いいえ、学生の頃の夢は特にありませんでした。ぼんやりしていたと思います。就職してから漫画家になりたいと思いました。

――今後の展望や目標をお教えください。

夢の残酷性を少しは表現できた気がするので、これを広めていきたいと思います。広めないとあまり意味がないと思っています。

――最後に、作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いいたします。

こんな意地悪な漫画を読んでくださってありがとうございます。これからも面白く、誠実に描いていきたいと思っているので、今後ともよろしくお願いします!