“アイドル”の枠を超えて活躍した本田美奈子.さんが愛され続ける理由、豊かな表現力と音楽への熱い想い

2024/02/16 18:00 配信

音楽 コラム

シークレットライブやDVD未収録の映像も放送

本田美奈子. 秘蔵映像#2映像提供:スポニチクリエイツ/毎日映画社


今回放送される『本田美奈子.ライブ「命をあげよう」』は、貴重なライブパフォーマンスが収められた作品となっている。1995年11月25日に東京・ON AIR EAST(現Spotify O-EAST)では「Sosotte」「Temptation(誘惑)」「Oneway Generation」「1986年のマリリン」などのヒット曲を伸びやかな歌声と躍動感のある動き、そしてファンに呼びかけや煽りで盛り上げる姿が見られる。ステージの前縁に腰掛けて歌い上げるなど、ファンとの近い距離感を感じながら楽しんで歌っているのがよく分かる。

2000年10月13日、東京・青山劇場で行われた『本田美奈子15周年記念リサイタル「歌革命」』。白いドレスでステージに横たわる本田が顔を上げ、ミュージカル『ミス・サイゴン』の「命をあげよう」を熱唱するほか、15年間を振り返りながら、歌との出会いによって新しい世界に足を踏み入れることができたこと、ミュージカルを通して出会った大切な人たちのこと、元々は演歌が好きだったことなど、“音楽”への想いを熱く語っている。シングル曲をたっぷり披露している他に、「天城越え」を歌唱するなど、音楽性の広さを改めて感じることができる。

2002年8月31日の東京オペラシティホールでの「グラツィエコンサート」は、フルオーケストラとの共演で、しっかりと歌い上げる姿が見られる。ミュージカル『キャッツ』より「メモリー」、『ミス・サイゴン』より「命をあげよう」、そして「赤とんぼ」などの童謡メドレーなどを披露。

他に、2003年12月21日の「前田憲男と市民によるリーデンローズでクリスマス」(ふくやま芸術文化大ホール)、2004年7月23日の白寿ホールでの「Jroom in Hakuju スペシャルアコースティックナイト」、2004年12月22日・23日の新宿文化センター大ホールでの「本田美奈子.クリスマス・コンサート」といった、病の発覚と公表する直前の時期のステージの様子も収められている。

ミュージカル『十二夜』の「ララバイ」、『ひめゆり』の「生きている」、さらには1997年11月22日に行われたファンクラブのためのシークレットライブ「BLue Spring Club HiMiTu2」、1988年発売のイメージビデオ「本田美奈子 MINAKO in L.A.」まで、歌手、表現者としての本田のいろんな顔が楽しめる。

本田美奈子.ライブ「命をあげよう」』は2015年に映像作品としてリリースされているが、今回はビデオノイズを軽減したデジタルリマスター版での放送となり、DVD未収録だった楠瀬誠志郎とデュエットした「Fall in love with you-恋に落ちて-」の映像も放送される。亡くなってから20年近く経とうとしているが、本田さんの歌声とステージパフォーマンスは今も輝いていて、聴き返したり、見直したりするたびに新鮮で元気を与えてくれる。この作品から、歌手、表現者としての魅力を改めて感じ取ってもらいたい。

◆文/田中隆信

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