コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、6月24日に書籍発売が決定した『ペンギン喫茶は今日も青天』(KADOKAWA)から、イケメン店員が、カフェにいるペンギンのためにお手製ハーネスを作る話『……おまえ、太ったな?』をピックアップ。
作者の世禕さんが2月16日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ反響を呼び、1.9万件を超える「いいね」が寄せられ話題を集めている。この記事では、作者・世禕さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
あるカフェはイケメン店員とペンギンがいるのが特徴的。ペンギンは1号、2号、3号と3羽いて、それぞれ個性豊かだ。
今回、イケメンカフェ店員は何か裁縫をしている。ペンギンは気になってのぞき込むも、危ないからじっとしているよう言われた。作っていたのは、ペンギン専用おでかけ用ハーネスだった。ペンギンは好奇心ゆえの奔放さを持つため、リードがないとお出かけに苦労する。2号、1号と試着し、サイズ感に問題がないことを確認した。最後に3号の番だが、入らない。作る前にしっかりサイズを測ったのになぜだろうか…。
イケメン店員とペンギンの美しくかわいいやり取りに「好みですぅ」「可愛いの見つけた」と話題。「あまりにも癒し」「ほんと可愛くて癒し…」と多くの読者に癒しを与えている。「主人公のデザインめっちゃ好き」「ペンギンのドヤ顔めっちゃ可愛い」とペンギンのかわいさ、店員のイケメンさに読者を虜にしている。太ってしまったペンギンの正体に「3号ちゃんだと思った」「3号ちゃん頑張って!」と3号のかわいすぎるやらかしに対して応援する声が寄せられている。
――『ペンギン喫茶は今日も青天』の創作のきっかけをお教えください。
ペンギンがいるカフェのアニメーション作品がきっかけだと思います。
もともとイラストを制作する際にそれぞれの設定やお話を考えながら描いていましたが、漫画初心者の私が初めて漫画を描く場合にストーリー展開がしやすいかなと思ったのが『男子×ペンギン×カフェ』でした(自分でイケメンっていうのは恥ずかしいですね笑)。
そう思うのも、ペンギンがいるカフェのアニメーションの前にネモフィラの中でキッチンカーをオープンするイラストも描いているので、それもあって「ペンギンが人間のお手伝いをする」という状況はイメージしやすかったのかもしれません。
でも今思えばイラストの中のペンギンたちは男子の良き理解者であり良き相棒でもあるポジションであることが多いのでカフェという状況はかなり身近でイメージの湧きやすい設定だったと思います。
とはいえ漫画制作は初めてだったので右も左もわからず手のかかる初心者をここまでサポートしてくださった関係者の方に支えられて制作できているということは痛感しています。
――水色のトーンや美しく綺麗な絵が話題ですが、こだわりがございましたらお教えください。
これまでイラストレーターで活動してきましたが「青」を基調にして制作してきたため、漫画でもその表現が活かせられればと思い水色をキーカラーとしました。
青の中でも紫色に近い色から黄色に近い色まで、どこまでを青と捉えるか色には差があるようでないような曖昧なところがあります。今回彩度の高い明るい水色を選択した理由として、カフェ『michikake』のイメージである月の光のような柔らかな光が差し込む喫茶店からインスピレーションを受けてセレクトしました。
その他にも、作品の展開として店長とバイト君の掛け合い、ペンギンたちの無邪気な様子を描写していくので暗い色よりも明るい色にしたいという思いがありました。あとはただただ好きな青の一つであるというのもあります笑
―― ペンギンさんたちやイケメン店員のキャラクターデザインへの想いをお教えください。
ペンギンは最初はバイト君にしか見分けがつかない妖精さんのようなキャラクターをイメージしていましたが、漫画を描いていくうちにだんだん人間らしさが出てきてしまったので、今は1号、2号、3号にそれぞれ特徴をつけていきました。
ペンギンたちにはベースとなるモチーフがあり、そこから派生させてキャラ付けをしています。モチーフについてはまだ秘密なのでちょっとずつそれぞれの個性を表現していきたいですね。
バイト君については、これまで描いてきたイラストの中に登場する男子の1パラレルワールドの一人だと思っています。今までのイラストとは異なり、今回の漫画のようにキャラクターとして幼少期からどのような感情で成長してきたのかまで考えたのは初めてですが、ベースとしては過去のイラストから派生してきているキャラクターです。
イラストの話をすると大抵混乱してしまうので一旦置いておきますが、この作品内でのバイト君はハイスペ男子なのでこれからいろいろな技能を見せてもらえそうです。でも彼には彼なりに複雑な思いがあるのでそこまで描写し切れるかどうか…
店長に関してはバイト君と違い完全に新登場キャラクターです。なので現に最初に投稿していた店長と最近描いている店長のキャラデザがかなり異なります笑
初期の店長は天然ふわふわの童顔な感じでそれはそれで好きだったのですが、今の大人な雰囲気のある店長も大好きなので今後は後者の店長になるかなと思います。
あるときふと、店長とバイト君でどっちの方が読者人気があるのかなと思って、Xでつぶやいたら、てっきり店長の方が人気があると思いきや、バイト君の人気も高くて嬉しかったです。店長orバイト君なのにペンギン票も入ってそれも嬉しかったです!
――『ペンギン喫茶は今日も青天』の中で好きなお話や展開がございましたらお教えください。
大変悩ましいですが、「笑えない冗談」と「バイト君がご飯を作ってくれる話」は気に入っています。
「笑えない冗談」では店長のビジュアルが切り替わった話でもありますし、私の中での「店長」のイメージが固まったお話でもあります。あとは構図やアングルを意識して描こうと思ったきっかけのお話なので漫画の書き方として個人的な転換点と認識しています。
「バイト君がご飯を作ってくれる話」では、ご飯回のような扱いですが、ご飯の表現以外にキャラクターの表情を表現している回でもありました。店長の美味しそうに食べる顔や料理に感心する顔、バイト君の意気込みのある顔や嫌がる顔など表情が少し豊かな回になりました。
元々イラストレーター畑で育ってきているので、私のイラストの作風として無表情のキャラクターが多く、イラストの表現としてはそれが情緒的価値を生み出していたと思いますが漫画となるとそれが短所となってキャラクターの情緒を表せず、現在進行で課題と認識して猛特訓中でもあります。とはいえどのお話もお気に入りなので特に豆まき回では家にあるものをフル活用した家庭的だけど怖いバイト君もぜひ見てほしいです!(制作のスケジューリングをしていなくて一日で必死に描いたので是非見てほしいですね。2月2日に必死に頑張った私が報われます)
――今後の目標や展望がございましたら、お教えください。
今年に限って言えば、漫画制作に注力したいと思っています。
去年は初めてイラスト以外の表現としてアニメーションに取り組みました。アニメーションだとその世界の前後数秒を切り取って皆さんにお見せするような印象でしたが、漫画となると動きはないもののストーリーや性格など幅広く見せられることに感動しています。もちろん、イラスト、アニメーション、漫画にそれぞれの良さや足りないところはありますが、2024年に限っては漫画に注力したいです。それだけ面白い世界で溜め込んでいた設定を吐き出せる環境に感動していると同時に、学ぶことの多い業界で本当に楽しいです。
昨年取り組んでいたアニメーションの表現がイラストの表現に還元できたと思っているので、今汗を流してヒイヒイ言いながら取り組んでいる漫画で、そこから得た表現方法もイラストに還元できるようになると思っています。
現に家族からは漫画を描くようになって画力上がったんじゃない?と言われて本当に嬉しかったですし、数こなせばと言う言葉もあるように描くしか成長はないと思うのでこれからもたくさん多角的に取り組んでいきたいです。
漫画についてはひよっこの状態ですがもっともっと、本当にもっと上手くなりたいと思っています!!
――読者やフォロワーの皆さんにメッセージをお願いします。
漫画から知ってくださった皆さん、私が自我を持って発言するという場では初めましてになると思います!初めまして!!先ほどのインタビュー内容はいかがでしたか??意外と漫画とはいえイラストやアニメーションがベースとなっている作品ですので、過去作を見ていただくのはまだ技術が稚拙なところもあり恥ずかしいばかりですが是非そちらもチェックしていただければ嬉しいです。
そしてイラストレーターの世禕から応援してくださっている皆さん、いつも本当にありがとうございます!イラスト以外にアニメーション、漫画と四方八方に手をつける私を温かく見守っていただけているのは私の世界観を愛してくださっているからこそだと痛感しています。本当に感謝してもしきれず、見続けてくださっていることに愛しか感じません。本当にありがとうございます。
これからも私のなかで溜め込んでいる世界観をさまざまな表現で発信していきたいと思います。
ちなみにバイト君と店長にも名前はありますがまだ公開はできていないので今後公表できる場があれば嬉しいですね。
そのほかにもまだまだ出しきれていない設定やキャラクターがいるので漫画でペンギンと男子、店長との関わり、各話に仕込んでいる設定の種を楽しんでいただけたら嬉しいです。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)