実際に起きた事件を扱うドラマという事もありオファーをいただいてから撮影終了まで常に気持ちが張り詰めていました。私が演じた高梨は、警視庁記者クラブに勤務経験のある数人の記者の方の体験を合わせた人物です。そのうちの一人で、トランスジェンダーの女性である事を公表して働く谷生俊美さんから「トランスジェンダーを演じるのは当事者であって欲しい」との希望がありました。
私は、経験した事のない人物を演じる事は、その人物に触れ、理解を深める事でもあると思うので悪い事だとは思いません。ですが谷生さんは過去にトランスジェンダーを非当事者が演じる何かを観て納得出来なかった経験があるのかも知れません。放送に携わる立場から考えた選択だとも思うので、その事も念頭に置いて撮影に臨みました。働き方についても訴えているドラマなので、部下がいる方も上司がいる方もそれぞれに発見があるドラマだと思います。
テレビ報道記者のドラマと聞いて、記者の役なんてやったことないし、できるかなぁと不安に思っていたら、焼肉屋のマイペースなおばちゃんの役でした(笑)。役の中で私はいろんな時代を生き、いろんな記者さんと接することができたので、すごく得した気分で楽しい撮影でした。
台本を読ませていただいて、実際にあった事件や出来事のお話で、殺人事件などの時効制度の廃止に尽力された方々の努力に感動し、ぜひ出演させていただきたいと思いました。私の出させていただいた部分は多くはありませんが、時効と長く戦ってきた方の大切な記録です。この作品に参加できて良かったと思っております。報道の方々の努力の歴史を感じ取っていただければ幸いです。