【漫画】斬首執行人の少年…師匠の首打を果たした後に待っていた衝撃展開に「感動直後に大興奮」と反響続出

2024/02/26 18:30 配信

芸能一般 インタビュー コミック

斬首を執行する首打人・櫛灘イサギ(C)Hoshino Makoto 2024/小学館

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、漫画家の星野真さんが手がけた『竜送りのイサギ』だ。

「サンデーうぇぶり」で連載中の同作は、竜が棲む世界の流刑地である「陵獄島(りょうごくとう)」で、首打人として生きる少年・イサギの様子を描いた漫画。この第1話が星野さんのX(旧Twitter)に投稿されると、瞬く間に話題になって8.6万件の「いいね」が寄せられた。

師匠の斬首を命じられる主人公の葛藤

『竜送りのイサギ』第1話(5/61)(C)Hoshino Makoto 2024/小学館

舞台は竜が棲む世界。流刑地の「陵獄島」は古くからの処刑場だった。

そこに送り込まれる罪人の斬首を執行する、首打人の櫛灘イサギ(くしなだいさぎ)。彼には、斬った相手の記憶が読めるという特殊な能力があった。

そんなイサギは囚人のひとりで、かつて国の英雄と称えられた須佐タツナミと出会い、以降は首打人と囚人という関係なのにかかわらず、タツナミはイサギに剣術を指導するようになる。

師弟関係として修行を繰り返していたある日、イサギはタツナミに「斬った相手の記憶が読める」ことを伝えると、タツナミは「その力はサトリという」と口を開き、さらに「首筋への、極めて精度の高い斬撃だけが…」「その閃きを感じ取る」と説明を続けた。

達人でなければ習得できない力のため、タツナミはイサギを褒め称えるも、最後に「先日 俺の斬首刑が決まった」と打ち明けるのだった。

慕っていたタツナミの斬首を執行することになったイサギ。心が辛くなる展開に対し、読者からは「覚悟を決めた2人の勇姿に感動」「流れ込んだタツナミの記憶によって大きく話が発展するのに興奮した」などの反響が相次いでいる。

そこで作者である星野さんに、同作を描いたきっかけやこだわりについて話を伺った。

首打を通して感じたこと…「人間の感情は昔からあまり変わっていないのでは」

『竜送りのイサギ』第1話(49/61)(C)Hoshino Makoto 2024/小学館

――『竜送りのイサギ』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

連載企画を考えているうち、自分の得意分野が生かせるものを描きたいなと思っていました。日本史が好きなので、和の世界観をベースとしたファンタジーがいいなと。ファンタジーのフックとして「竜」を持ってきたのですが、そんな大きなものをどう違和感なく世界観に落とし込むか?というところを突き詰めた結果、今の形になりました。

――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。

「竜」というワードが話の中で頻出しますが、まず竜のことはそっちのけで、主人公であるイサギの感情を丁寧に描こうと思っていました。そのため、セリフはかなり厳選しました。漫画は、まず絵ありきですが、セリフにも注目していただければなと思います。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。

セリフだと「秩序の犠牲」というワードです。この言葉が出てきた瞬間、「いける」と思いました。今の世の中でも、社会(空気)を維持するために、理不尽を強いられることってたくさんありますよね。主人公のイサギは、この「社会の酷いハズレくじ」を押し付けられた側の存在として描いています。

――個人的に斬首・首打は残酷な処刑方法だと感じているのですが、星野さんの首内に対して何か思うことや、考えなどを教えてください。

確かに首打ちは残酷です。ですが、「残酷であることが必要」な社会秩序であったのだと思っています。

作品の時代感は、日本史でいう近世をイメージにしていますが、首打ちはその時代から見ても当たり前に「残酷」だったのではないかと、自分は思っています。

残酷な刑罰が当然のように行われている一方(これを現代の倫理観で以て「良い/悪い」というのは違うかな、と思っています)、当時それを生業としていた人々は、とても悩み苦しんでいたという記録が残っています。

法や社会秩序・常識というものは時代によって全く違いますが、人間の感情というものは昔からあまり変わっていないのでは…そういうことを念頭に入れながら描いています。

――『竜送りのイサギ』第1話に登場した竜の姿は一般的な竜とは違うビジュアルをしているように思いましたが、描く際に意識しているポイントはあるのでしょうか?

竜はもうありとあらゆる媒体で出ているので、少しでも「これはこの作品の竜」と判るようなデザインになればいいなぁ…と思いながら描いています。デザイン方面にはあまり自信がないので、少しでも異質感を出そうと、万年筆でペン入れしている部分が結構あります(万年筆ファンです)。

――今後の展望や目標をお教えください。

とにかく作品がたくさんの方に届いてほしいと思っています。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!

お読みいただき、本当にありがとうございます。お一人お一人に感謝したい思いでおりますが、それは難しいので、とにかく今後もずっと面白い続きを描くことで報いたいと、心底思っています。

『竜送りのイサギ』の単行本1巻が発売中なので、お手に取っていただければ幸いです。サンデーうぇぶりにて第1、第3日曜日に最新話を更新しておりますので、そちらも良ければ、ぜひ遊びにきてくださいませ。

『竜送りのイサギ』1巻(C)Hoshino Makoto 2024/小学館