『堂本兄弟』でTHE ALFEEを知った人は、「トークが面白いおじさんたち」という印象を持っているかもしれない。そのイメージのごとく、コンサートのMCでは、トークを超えて愉快なコントが始まりだす。ツアーグッズの販促コントや仮装をしての全力ガチコントは芸人顔負けのノリで、ファンの中にはこのコントを楽しみにツアー参戦している人も大勢いるほどだ。
また、THE ALFEEのコントはコンサート内だけに留まらず、イベントのDVDパンフレットには「ALFEE KITCHEN」なる超人気コンテンツが収録されている。これは文字通り3人によるクッキング番組で、見どころは3人の掛け合いと、高見沢の料理音痴ぶり。中でもカツ丼回で玉ねぎを丸ごと親子鍋に入れたのは語り継がれる伝説だ。
他にもリンゴを剥けば身がなくなり、おにぎりを作るとなれば熱々炊飯ジャーに素手を突っ込むなど、高見沢が怪奇な行動を見せている。「ALFEE KITCHEN」は、そんな爆笑シーンの宝庫になっており、いつまで経っても愉快で自由な姿を見せてくれるのも、THE ALFEEがファンから愛され続けているポイントだ。
どのアーティストのファンも同じ思いだと思うが、応援してくれるきっかけは音楽でなくても構わない。入口はバラエティーでもラジオでも、ネット番組でも良いのだ。ただ、やはり1度は、THE ALFEEコンサートを見てもらいたい。ステージ上にはテレビやネットで見ていた姿とは別の、アーティストとしてのTHE ALFEEの世界があるからだ。
音楽番組が減少し、サブスクをはじめとしたデジタル配信が浸透し、CDが売れなくなったとも言われる現代。どのアーティストもライブ活動に軸を移しているが、THE ALFEEはそもそもデビュー当初からライブ活動をメインにし、そこでファンを集めたバンドだった。現に「メリーアン」のヒットでお茶の間に知られる前に、日本武道館公演を開催している。そうした活動の中で生まれた伝説のライブの1つが、今回CS衛星劇場で放送される「THE ALFEE / MEIGAKU LIVE 3 NOVEMBER 1987」だ。
メンバー3人の母校、明治学院大学の屋外ステージで行われたスペシャルライブで、噂によればチケット抽選には約7万通の応募があったという。当時はちょうど静岡・日本平で6万人を集めたオールナイトコンサートを行い、THE ALFEEの人気が爆発した直後。映像では40年前の精悍な3人が激しいパフォーマンスを見せ、ファンが大歓声を上げている。明治学院大学学園祭の模様も収録され、このときの時代の熱さ、ファンの熱気がどれほどであったかを感じ取ることができるだろう。
また、1988年に札幌、横浜、大阪、福岡の4カ所で行った大規模コンサートの模様を収録した「THE ALFEE / THE ALFEE ALL OVER JAPAN 4ACCESS AREA 1988」、1992年に横須賀で開催された「THE ALFEE / JUST LIVE!」も連続放送。前者は「星空のディスタンス」「Stand Up,Baby -愛こそすべて-」「恋の炎」などが収められ、映像収録が少ない「クリスティーナ」も含まれる全17曲を収録。後者は約5万人が来場した横須賀シーサイドパークでの11回目のライブ映像で、「鋼鉄の巨人」「Promised Love」「いつも君がいた」「夢よ急げ」「SWEAT & TEARS」「終わりなきメッセージ」など、全20曲を収録。どちらも当時のライブの臨場感が凝縮されたライブで、今回がテレビ初放送となる。
音源で聴いているのとは全く違う、THE ALFEEのコンサートのすごさ。その一端だけでも見られる伝説のライブ映像は必見だ。まだTHE ALFEEの音楽に触れたことがないという人もこの3作品を観て、アルフィー沼へと足を踏み入れてみてほしい。
◆文/鈴木康道