コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は作者・chiikoさんの『長男が赤ちゃん時代の空耳』をピックアップ。
日々の育児の出来事をコミックエッセイとして描き、SNS上で公開してたびたび話題を集めているchiikoさん。中でも『ツッコミ育児、はじめました ぐっちゃんといっしょ』(高橋書店)に収録された『長男が赤ちゃん時代の空耳』は、2020年7月7日と2023年12月6日に作者がX(旧Twitter)に投稿した際、計15.3万以上の「いいね」が寄せられ大反響を呼んだ。この記事ではchiikoさんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
「パンあけてほしいの?」「是非」
「今日はぐっちゃんのお兄ちゃんパンツ買いに行こうね」「カープ」
「そんなにくるま(のおもちゃ)持ってかないよっ」「弁明」
「寝るよ〜」「関空 ママ関空」
「ほら寝室行って」「アッ新種…」
作者・chiikoさんの長男・ぐっちゃんが2歳の頃。1歳のときに比べてかなり話せるようになってきたものの会話はやっぱり空耳だらけ。そんなぐっちゃんとの会話だが、chiikoさんのツッコミによって不思議と会話が成り立っているのが面白い本作。お風呂上がりにパジャマを着ず「冷え性」と言うぐっちゃんに「なおさら早く服着てくれっ」、寝る前に「関空」と言うぐっちゃんに「こんな時間から行けないよ 発つなら明日にしてっ」と返すなどママとしての冷静なツッコミもシュールでおかしく、読者の笑いを誘っている。
極め付きは寝かしつけの際、「今日も大好きだったよ」「明日も遊ぼうね」と優しく声をかけるchiikoさんに対して、ぐっちゃんが放った言葉は「ママ クリーチャー」。それにはすかさず「何て?」と聞き返してしまうchiikoさんなのだった。
日々の育児の大変さを描きながらも、思わず笑ってしまうインパクト大な空耳だらけの会話に読者から大きな反響が集まり、X上では「じわじわくるw」「可愛すぎる!」「ほっこりする」「尊いとしか言いようがない」「返しが秀逸すぎる」「本当はなんて言ってるのか知りたくなっちゃう」「弁明はごめんね?とか考えるのも楽しいですね」など多くの感想が寄せられ話題となっている。
――『長男が赤ちゃん時代の空耳』を描いたきっかけや理由があれば教えて下さい。
1歳半に差し掛かる頃、長男が少しずつ何かを話しはじめていたのですが、どう聞いても空耳にしか聞こえなくて。これは長男が大きくなった頃に見返して笑いたいな〜と考え描いたのがきっかけです。
――本作をXに投稿後、計15.3万を超える“いいね”と共に読者からの感想コメントも多く寄せられ話題となっています。今回の反響を受けてchiikoさんの率直なご感想をお聞かせ下さい。
いつもの日常漫画のノリで描いたのですが、自分でも想像を上回るバズになりかなり驚きました。しかも1年ほど育児エッセイを描いてきた中で、初のTwitter(現X)でのバズだったので、これがきっかけでフォロワー数が何百人と激増しました。
「じじぃ」などのワードが出ているので「普段から親が言ってるんじゃないの?」など否定的な言葉が出たらどうしようと思いましたが、未だにそういったコメントはなく皆さん空耳を楽しんでいただいて本当に嬉しかったです。
印象に残った言葉と言いますか、この投稿の数年後に育児エッセイを更新した時、「あの空耳のぐっちゃんがこんなに喋ってる!」「空耳から4年かぁ…」「大きくなりましたね、今も面白い言葉選びで可愛いです」など、ぐっちゃんの成長を空耳と共に見てくださってる方がいて、そういったコメントを見るたびに胸がいっぱいになります。
――ぐっちゃんの愛らしい表情とは裏腹にシュールでインパクト大な“空耳”に思わず笑ってしまう本作ですが、作画の際にこだわっている点や「ここを見てほしい」というポイントがあれば教えてください。
エッセイ漫画を描く際、リアクションなどを誇張して描くことはありますがこのエピソードは空耳のシュールさを際立たせたくて終始淡々と進むように執筆しました。日常に当たり前にある、赤ちゃんの空耳という感じで。ラスト、オチも自分のイメージ通りに描けて満足した作品なので、最後の「ろくばん」まで楽しんでいただけたら幸いです。
――chiikoさんがこれまでに描いてきた空耳シリーズの中で、特に印象的だった言葉やお気に入りのエピソードはありますか?
じいじのことを「じじぃ」と言った部分と、「ろくばん」ですかね…。赤ちゃんを産む前は、「あーうー」「バブー」みたいな喃語から「まんま」「パパ、ママ」「にゃんにゃん」などの単語に移行するのかなと漠然とした想像をしていたのですが、まさか空耳の時期があるとは思ってもいませんでした。空耳を聞きたくて、たくさんぐっちゃんの言葉に耳を傾けていたことを覚えています。
次男は割とすぐ話し始めたのであまり空耳は残っていませんが、言い間違いの時期なのでぐっちゃんとの会話を聞いているとすごく面白いです。ちなみに読者の方に人気だったのは「代価…」「いらないよ〜」と「主従…」「私たちは対等だよ」でした。
――本作を収録した『ツッコミ育児、はじめました ぐっちゃんといっしょ』では、空耳シリーズ以外にもchiikoさんのドタバタ育児のエピソードが数多く掲載され「笑えて心が軽くなる」と話題ですが、あらためて本書の見どころを教えていただけますか。
いきなりどのページを開いても楽しめる一冊になっていると思います!
担当さんが元々私のファンで過去作をたくさん読んできてくださった方なのですが、そんな方がこの本の企画を通してくださったので、70ページ以上ある描き下ろしや空耳辞典など、見どころ満載となっております。プロローグには0歳時代のぐっちゃんを振り返るページなどもあり、これまでぐっちゃん漫画を知らなかった人も違和感なく読める仕上がりになっています。この1冊に1歳時代のぐっちゃんがほぼ全て詰まっている私にとってもお気に入りの一冊なのでぜひたくさんの方に読んでほしいです!
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
私の漫画を通してうちの兄弟の成長を楽しく見守ってくださっている読者の方には本当にいつも支えられています。飽き性の私がずっと漫画を描き続けられているのも、本を出せたのも、1人では絶対に叶わないことでした。
育児漫画はいつか終わりますが、漫画自体は描けるところまで描き続けたいと思っています。いつも本当にありがとうございます。大好きです。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
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