そして終盤だ。マイティーストライクフリーダムガンダムの登場シーンからその後の戦闘シーンは、心の底からお勧め。ラクス・クラインがターゲットをロックして一斉に高電圧の雷を発するシーン。ブラックナイトスコード カルラとの激しい斬り合い。インフィニットジャスティスガンダム弐式の登場シーン。デスティニーガンダムSpecIIの分身などが大画面で繰り広げられる一連の激闘を、モーションシートがその可動をフル活用して盛り上げてくれる。映像と体感に夢中になるほどに、「もっと揺れろ! もっと叩け! 風よもっと巻き起これ! もっとだ!」といった気持ちになるのだ(念のため補足しておくが、悪路を走る車のような上下動はなく、あくまでも安定して座っている状態でのことだ)。
ガンダムファンの中には、戦闘シーンを見ているとしばしば乗りに乗って得体の知れない情動が突き上げてくる方が多いと思う。そう、叫びたくなるあの感じだ。その情動を、MX4Dはさらに加速し、体感を刺激することによって昇華してくれる。大げさに言えば、MX4Dにはそんな効果があるのだ。少なくとも筆者は、「ああ、なるほど。“映画を観る”という、どちらかといえば受け身の行為に身体的な感覚が加われば、それは“鑑賞”から“体験”になるのかもしれないなあ」と、思ったのである。
こうして、筆者の初MX4Dによる『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の鑑賞、いや体験は終わった。帰り際、そう言えばと思い出したことがある。座席がほぼ満席だったのだ。すでにMX4Dの良さを知っている人は大勢いて、もはや市民権を得ているのだろう。MX4Dを知っている人にとって、『SEED FREEDOM』はうってつけの作品かもしれない。そして、まだMX4Dの本作を未体験の方は、ぜひ一度試してほしい。コズミック・イラの世界を、キラやラクスの息吹を“体験”できるはずだ。
ちなみにもう1つのラージフォーマット上映である4DXにも、今興味が非常に湧いてきている。SNSに集まる体験者の感想を読んでみると、同じ体感でも似て違うものらしい。どのようなものなのか、再びモーションシートに座るのが楽しみでしかない。
文:吉川大郎
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