『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の興行収入が40億円を突破し、ガンダムシリーズ劇場版の歴代最高興収も記録した。とにかく情報量が膨大で、随所に小ネタが散りばめられているため何度も劇場に足を運ぶリピーターが続出している。観るたびに新しい発見があるという、ファンにとってはこれ以上ない多幸感が味わえる名作だ。そんな劇場版はモビルスーツバトルも見応えがあり、キラ・ヤマト、アスラン・ザラ、シン・アスカそれぞれが目を釘付けにする活躍を見せてくれる。そして、ファンの間で再燃しているのが「最強パイロットは誰なのか?」という論争だ。シュラに「やはり最強はアスラン・ザラか」と言わしめたアスランなのか? それともやはり“主人公of主人公”のキラ・ヤマトなのか? はたまた“フリーダムキラー”の異名を持つシンか? 劇場版での活躍を振り返りながら、改めて考えてみたい。(※本記事は『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の一部ネタバレを含みます)
まず最初にテレビシリーズでの活躍から見ると、3人に明確な差はないと言えるだろう。それぞれ華々しい戦果もあれば敗戦もあるため、「誰が最強」とは言い難い状況にある。例えばキラであれば、総合的な戦績は3人の中でもトップだが、アスランとシンには直接対決で負けた経験がある。一方、シンはキラに勝ったことはあるが、アスランとの対決ではかなり一方的に敗れている。ではアスランが最強なのかと言えば、彼はメンタルに左右されがちで、迷いのある状態では実力を発揮できずにいる場面が多々あった。つまり、安定力ならキラ、一瞬の爆発力ならシン、迷いを捨てればアスランといったところだろう。そんな三すくみの均衡は、劇場版を経てどのように変化したのだろうか?
最初はキラ。序盤はライジングフリーダムガンダムで戦闘に介入し鎮圧することで圧倒的な戦闘力を示した。しかし中盤はブラックナイトスコードに精神を操られてしまい、その後の争乱拡大のきっかけを与えてしまうなど久しぶりに精神面の弱さを露呈した。後半の決戦ではストライクフリーダムガンダム弍式に乗り換えるが、オルフェとイングリットが乗るカルラと、シュラが乗るシヴァとの戦闘では劣勢に。そこにアスランが駆けつけ、カルラとの一騎打ちとなるが依然としてピンチなキラにラクスがプラウドディフェンダーを届けマイティーストライクフリーダムガンダムとなってからは形勢が逆転する。ラクスとの“愛の力”は凄まじく、敵の総攻撃をとてつもない機体性能で凌いだかと思えば、カルラだけでなく周囲の敵までまとめて捕捉&攻撃して戦場全体を制圧してみせるなど、間違いなく過去最強クラスの活躍を見せてくれた。
そもそもマイティーストライクフリーダムガンダム自体がかなりチート級の機体ではあるが、その性能を完全に引き出すことができたのは、キラだからこそ。そして、ラクスとの愛の力があってこそだろう。主人公として文句のない大活躍で、ファンからは「いやこれマイティーだけで艦隊ごと殲滅できるんじゃ!?」「やっぱり愛の力は偉大なんですね」など、感嘆の声が湧き上がっている。
続けてはアスラン。キラがブラックナイトスコードに追い詰められたそのとき、赤いズゴックで颯爽と登場し、キラを救出した。さらにその後の最終決戦でもズゴックのまま出撃する。まさか最後までズゴックなのかと思いきや、中身はインフィニットジャスティスガンダム弍式だったというとんでもない隠し玉を持っていた。そしてシュラとの戦いでは、シュラの読心能力を逆手に取って、カガリによるリモート操縦で相手を混乱させる。
さらにアスランの心を覗いたシュラが見たものは、まさかの破廉恥な妄想。これが意外にもシュラには効果的で、動揺させた一瞬の隙を突いて撃墜する。かなりトリッキーな戦法ではあったが、柔軟な知略を備えていることを改めて証明したと言えるだろう。一連のシーンにはファンからも、「戦闘中にこんな妄想できる余裕があるのがすごい」「迷いを捨てるってこういうことか?」といった、ユニークさも相まった称賛を受けていた。
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