近年盛り上がりを見せている台湾作品の特集をWEBザテレビジョンでも展開。本記事では、愛する人の幸せをひたすらに願う想いの強さ・美しさが胸を打つ珠玉のラブストーリー「悲しみより、もっと悲しい物語」を取り上げる。とにかく泣けると評判の本作の魅力にせまりたい。
2018年に公開されるやいなや、多くの観客が劇場へとつめかけたメガヒット作。第23回釜山国際映画祭のオープンシネマ部門でワールドプレミアとして上映された際には、5,000枚のチケットが発売からわずか数分で売り切れた。また、主演のリウ・イーハオとアイビー・チェンは、アジアでのこれからの活躍が期待される俳優・女優に贈られる「フェイス・オブ・アジア賞」を受賞している。
11月30日という年末になってからの公開だったにもかかわらず、その年の台湾の国内映画興行収入ランキングで1位を獲得。シンガポールとマレーシアでも、2018年アジア映画興行収入ランキング1位になるなど、大きな旋風を巻き起こした。さらに翌年3月には、中国でも中国大陸部映画興行週間ランキング1位を記録している。これは台湾映画として史上初の快挙だったという。
2009年にヒットしたクォン・サンウ主演の韓国映画のリメイク作品であることもあり、アジア各国からの注目度がもとから高かったことも好材料となった。本作の大ヒットを受け、2021年には新たな監督とキャストで再び同作品の台湾版リメイク作がつくられている。こちらは全10話のドラマ形式で、台湾を代表する歌姫のA-Linが映画版に続いて本人役で出演した。
「ある悲しみ」と名付けられた未発表曲を気に入った歌姫のA-Linが、作詞をした人と連絡を取ろうとしたことをきっかけに、曲の裏にあったラブストーリーを知ることになるという形で物語は進む。
デモを歌っていた音楽プロデューサーのK(リウ・イーハオ)は、16歳で1人暮らしを始めた。父親を亡くし、母親に捨てられてしまったからだ。生きることが何よりの悲しみだった彼は、学校のグラウンドで大胆にもタバコを吸っている少女に出会う。「ある悲しみ」の作詞者であるクリーム(アイビー・チェン)だ。
その場で恋に落ちたKは、自由奔放で明るいクリームと同じ大学に進学し、卒業し、ともに仕事をし、いくつもの季節を一緒に過ごしていく。天涯孤独のKと交通事故で家族を亡くして1人きりのクリームは、やがて身を寄せ合うようにして一緒に暮らし始めた。
クリームを心から愛していたKだったが、遠まわしにプロポーズをねだるクリームに「君には、早くイイ奴と結婚してほしい」と告げる。Kは病で亡くなった父と同じ白血病に侵されていて、自分の余命があとわずかであると知っていた。そのため、自分の想いを伝えることよりも、クリームが再び1人きりになってしまうことなく、幸せな人生を築いていける道を選んだのだ。
クリームはKの願いに応えるように、別の男性との結婚を決める。Kはこみあげる想いを押し殺して、ウエディングドレスをまとったとびきり美しいクリームを新郎へと託す。ここでKとクリームの物語は終わったかのように見えた。だが、そこには思いがけない「もう1つの物語」が存在していて……。
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