――永野さんの相手役として山田裕貴さんをキャスティングした理由についても教えてください。
この物語の太陽くんは、自己肯定感が低い雨ちゃんの希望となっていく存在で、まさに太陽のように照らしてくれる人で、本当に純粋な心の持ち主だと思うんです。僕が山田さんに抱く印象っていうのが、映像作品やバラエティー番組を見ていても、ものすごく熱い方で、本当に全力投球でやられている印象で、それが太陽くんとすごく近いと感じたんです。だからこの太陽役には山田裕貴くんしかいないと思いオファーしました。
――第1話で雨ちゃんが心を差し出すことを決めますが、太陽くんの存在がどれだけ雨ちゃんにとって大事で、心を差し出したい存在かというのを1話の中で表現しなきゃいけないというのも難しいところだったかと思います。実際に第1話が映像になってみていかがでしたか。
少なくとも僕が見た限りは、雨ちゃんと太陽くんが、お互いに心の支えになっている感じを脚本以上に膨らませてお芝居してくれたと思います。もしかすると強引だったかなって思うような脚本の部分も、彼らが演じることによって、それが自然とお互いの心に届くような会話になっていますし、行間を埋めてくれるようなお芝居をしてくださっているから、この二人だからこそ、ちゃんと「心を差し出す」ということに対して、納得のいく雨と太陽という関係性ができたのかなと思いますし、本当に感謝をしています。
――雨ちゃんは五感を味覚、嗅覚、触覚、視覚、聴覚の順で失っていきますが、失う五感の順番はどのように決められたのですか。
脚本の宇山さんに決めていただきました。最初に、宇山さんが第1話から最終話までの全話のプロットを100ページぐらいに渡って作ってくれて。そこに五感を失う順番も、その通りに書いてあって、僕もそれを読んで「素晴らしい。これで行きましょう」と納得して進めることになりました。全ては宇山さんの中で計算された順番になっています。今作の脚本づくりに関しては、この宇山さんのプロットに対して、我々が意見を重ねて、あとはそれを一つ一つ、台本に落としこんでいくという作業だったので、宇山さんが作ってくれたベースの世界を我々が具現化していくような作業に近かったかもしれないですね。
――長崎県を舞台にするというところも、最初の段階で決まっていたことですか?
最初から決まっていたことではなかったです。ファンタジーは映像の世界観が非常に大事なので、ファンタジーという要素が浮かずに馴染む異国情緒が必要だと考えた時に、長崎はどうだろうと宇山さんと話しました。長崎のローカルの物語とか、長崎の人たちを描こうということよりも、ファンタジーという要素を長崎の土地をお借りして、補っていってもらいたいと思ったので、あえて長崎の方言の要素は入れずに標準語で物語を作っています。
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