いろんな役を演じてきた二階堂も、2019年に初めてのチャレンジとなった作品がある。それは「翔んで埼玉」。演じた壇ノ浦百美は、東京屈指の名門校・白鵬堂学院の生徒会長を務める“男子”。初の男性役で、「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ!」というセリフとともに、このキャラクターを印象付けた。2023年には続編「翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛を込めて〜」も公開され、関西圏を巻き込みスケールアップした。
2020年には、連続テレビ小説「エール」(NHK総合ほか)でヒロイン・関内音を演じた二階堂。歌うシーンもあり、力強い女性を生き生きと演じていた。同年公開された映画「ばるぼら」にも注目。手塚治虫氏の生誕90周年を記念して実写化された作品で、稲垣吾郎が人気小説家・美倉洋介を演じ、堕落した生活を送っていたが不思議な魅力があって美倉のミューズとなる“ばるぼら”を二階堂が体当たりで演じた。独特の雰囲気を放つばるぼらも“挑戦”と言える役だったと思われる。
「エール」以降のドラマだと、「プロミス・シンデレラ」(2021年、TBS系)の桂木早梅も夫に不倫され、離婚し、スリに遭って路上生活するところからスタートする個性的な役。「VIVANT」(2023年、TBS系)では世界医療機構の医師で、バルカ共和国で医療に従事する柚木薫役で出演。芯の強い性格で、思いやりのある薫は、複雑に展開するストーリーの中で欠かせないキャラでもあった。
そこから「Eye Love You」「SHOGUN 将軍」と続いていくわけだが、あらためて作品ごとに違う色を見せてくれていることに気付く。
ハリウッドデビュー作となった「SHOGUN 将軍」のジャパンプレミアに登壇した際、二階堂は「本当にビックリするような経験の毎日で、作品を作るプロセスも全然違いましたし、ぜいたくな時間を過ごさせていただいて。最初にセットを見学させていただいたときは、こんなに大きい照明が世の中に存在するのかと思うぐらいの大きな照明とセットでした」と語っていた。日本でいろいろな現場を経験してきた二階堂ですら驚きを隠せないスケールだったそう。
それでも“オールラウンダー”な二階堂らしくきっちり順応し、プロデューサーも務めた主演の真田が「まさしく存在感が素晴らしいです。自分の役として、髪飾りの選び方一つ、履き物の選び方一つまでこだわられていました。彼女のシーンも僕は全部付いていて、演技を見ていました。割と早く向こうの現場になじんで、後半はクルーとも友達になってやりとりしていました。そういうところも彼女の良さですね」と彼女を評している。
ここ最近はグローバルな作品への出演も続いているが、今後もどんな色にでも染まれる日本を代表する役者として自由に“翔んで”いってほしいものだ。
◆文=田中隆信
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