コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、ガンガンONLINE(SQUARE ENIX)で連載が決定した『初恋羊の声とおやすみ』から寝付きが悪い主人公の救世主、声が良すぎる幼馴染に翻弄される『おおきくなった幼馴染に溺愛される話』をピックアップ。
作者の栗みやさんが2月2日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ反響を呼び、7.1万件を超える「いいね」が寄せられ話題を集めている。この記事では、作者・栗みやさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
会社で怖いものなしとうたわれる主人公・岡野芽依(おかのめい)。実はここ数か月“寝つきの悪さ“に悩まされ、夜がくるのが怖かった。睡眠時間を延ばすために会社近くに引っ越したのに意味がない。眠れるように運動不足を解消しようと散歩に出ると、隣の部屋から怖めな人が出てきた。いそいそとその場を後にしようとすると「…芽依ちゃん?」と声をかけられる。隣人の正体は、10年前近所に住んでいてよく家で預かり寝かしつけなど世話を焼いていた5歳下の幼馴染「ようちゃん」こと黒川羊一(くろかわよういち)だった。「ム…」が口癖のシャイでクールだった少年。その姿は10年前とは性格も見た目もすっかり違う。何より声が高くてかわいい声から、低く響いて心地のいい声に変わった。
流れでようちゃんの家にお邪魔することに。その声を聞いているとすごく安心する…。気づくと芽依は寝落ちしてしまっていた。目を覚ますといつぶりかわからない快眠に驚きを隠せない。その様子をみて、ようちゃんは「芽依ちゃん寝不足なの?」と問う。そこで最近寝つきが悪い悩みを明かした。芽依はそのまま帰ろうとすると、ようちゃんに引き留められる。「眠れないならオレに寝かしつけさせてよ」と提案された。
連絡先を交換し、夜寝る前に通話することになった。芽依は昼間眠れたのは偶然だし、夕方まで爆睡したのに寝付けるはずもない…半信半疑だが、朝起きて驚く。いつ寝たかもわからない快眠、明らかに体が軽く、頭がすっきりしている。ようちゃんは超能力者では⁉と思うほどだった。喜ぶ芽依に対し、「昔のお返しとして、これから毎晩寝かしつけさせてほしい」「お世話になったお姉さんが心配」と提案した。
こうして「10年ぶりに再会した声のいい年下幼なじみに寝かしつけてもらう」という関係が始まった。お礼は週末の夕食で片付いたが、一緒に料理をすることになり結局ほぼようちゃんが作り上げてしまう状況に陥った。ようちゃんは誰もが羨む完璧超人だった…。現在のお仕事の話も気になるが、本人が言いたくなさそうなので謎に包まれたままだった。
一方ようちゃんは”在宅の仕事”を終わらせ、芽依との通話を心待ちにしていると、芽依から「寝かしつけはもうなしで大丈夫」と連絡が入っていた。芽依はしばらく休む社員の代わりに仕事を請け負い、残業によって寝る時間が遅くなってしまっていた。この事情をようちゃんに話したら、きっと寝かしつけの時間を合わせてくれる。それはさすがに申し訳なさすぎるため、一人で眠れるように努めることに。結局眠れないまま朝を迎えてしまった。
芽依の仕事は家でもやらないと間に合わない状態になり、必死に取り組んでいるとゴキブリが出現する。ドタバタする音が隣の部屋まで響き、心配になったようちゃんは芽依を訪ねると、芽依はやつけるための薬をまいたので、ファミレスで仕事をしようと出かけるときだった。ようちゃんは遅いし危ないからと彼女を止め、自分の部屋に招いた。芽依は仕事で「ゲーム配信」についての記事を書いており、自分に知識がないため確認作業がなかなか進まないとこぼした。ようちゃんはある事情でゲーム配信に詳しいため、手伝うことにした。
1時間後、無事完成し、ようちゃんに「絶対お返しする、私にできることならなんでもするから」と感謝した。「なら…」とようちゃんがある”おねだり”したことで2人の関係性に変化が出てきて――。
隣に住んでる再会した年下幼馴染に寝かしつけてもらうという甘すぎる2人の関係性に「AMAーーーーー」「こんな未来があると信じています」と読者をうならせた。「好きな声で寝落ちするの最高」「その声で甘やかされるとか昇天」「いい声聞いてると眠くなってきちゃう」など共感の声が寄せられている。「続き読みたい」「おっと、好物」など読者のハートをしっかりつかんでいる様子だ。「アニメ化してくれ」「実写化するなら…」と映像化を望む声も見られる。
――『初恋羊の声とおやすみ』を創作しようと思ったきっかけをお教えください。
自分自身が寝つきの悪さに悩んでいて【眠ること】をテーマに作品を描きたいと思ったのが最初のきっかけです。ラブコメとして映える「寝かしつけ」の要素をどうするか考えて「声がいいヒーロー」を描きました。
――今回、X(旧Twitter)では7万件以上のいいねと大きな反響を呼んでいますが、反響への感想をお教えください。
驚きましたが、もちろんとても嬉しかったです!『初恋羊の声とおやすみ』はガンガンONLINEに掲載いただいた読切だったのですが、X(旧Twitter)の反響のおかげで連載化が決まりました。「続きが描きたい」と思っている自分と同じように「続きが読みたい」と背中をおしてくれた読者の方がたくさんいて、とても有り難かったです。私にできるのは、楽しんでいただけるよう精一杯描くことなので。これから恩返しができたらと思います。あの続きがどうなったのか、また読みにきていただけたら嬉しいです。がんばります…!
――読者からは「寝かしつけられたい」「これになりたい」と憧れの声が多く寄せられています。本作に登場するキャラクターやストーリーの設定についてこだわりがございましたらお教えください。
羊一のキャラクターについては、子どもの頃と大人になってからで、別人レベルのギャップがあるようこだわりました。(芽依は子どもの頃のようちゃんに対して、みじんも恋愛感情を抱いてなかったので)読んでくれた人に「でもやっぱり同一人物なんですよ」とわかってもらえるように、最後の「…ム」を入れました。そこの表情がいきるよう、羊一の表情を前半なるべく崩さないようにする事を気をつけました。
またストーリーについては、自分が入れたいと思うシーンやこだわりの核のようなものを保ったまま、読みやすく読んだ後の疑問があまり残らない物語になるよう気をつけました。担当さんと何度かネームの制作を繰り返した後、編集部内でもネームを回していただいて「引っかかる」や「何か物足りない」と複数の方から指摘があった部分を自分なりに修正する事ができました。「客観的に見てどうなのか」が個人では一番判断のつけにくい所なので…ネームの段階でいろんな方に意見をいただけたのは本当に有り難かったです!とはいえ、読切では不十分だった部分もありますので、これからもっと深く描けたらと思います。
――栗みやさんの作品には、ほくろが印象的な男の子たちが登場することがあり、読者が度々語る魅力の1つだと認識しております。何かこだわりや意識していることがございましたら、お教えください。
個人的に人間味が増すような気がして、キャラデザにほくろを加える事が多いです。そして単純にほくろが好きです…笑
ただやはり描き忘れのポイントにもなるので、気をつけて作画したいと思います。
――本作で特にお好きなセリフやシチュエーションがございましたらお教えください。
セリフは「ム」を気に入ってます。シチュエーションは黙って指をさすシーンが個人的に好きです。細かいことを言うと、何度かリビングで2人が対面する場面を描いているのですが、カーテンはあのシーンで初めて全開になっていて羊一が本音をぶつけた演出としています。
――今後の展望や目標をお教えください。
応援してくださった方に「応援してよかった」と思ってもらえるような連載作品にする事が今の目標です。
――最後に楽しみにしている読者やフォロワーさんへメッセージをお願いいたします。
作品を追ってくださる方にとって、見守りがいのある作家になれるよう頑張ります…!
これからもどうぞよろしくお願いします。
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