<SHOGUN 将軍>“なぜハリウッドが正しい日本を描けなかったか”をリスト化 制作陣が明かしたこだわり

2024/03/11 07:10 配信

ドラマ インタビュー 動画

「SHOGUN 将軍」主人公の吉井虎永(真田広之)(C)2024 Disney and its related entities Courtesy of FX Networks

真田広之が主演&プロデュースを務めハリウッドの制作陣が手掛けるドラマ「SHOGUN 将軍」が毎週火曜にディズニープラスのスターで配信中。同作は、ジェームズ・クラベルのベストセラー小説を原作に、日本に漂着したイギリス人航海士ジョン・ブラックソーン(のちの按針=コズモ・ジャーヴィス)の視点から戦国の陰謀と策略を描いた物語で、「トップガン マーヴェリック」の原案を手掛けたエグゼクティブプロデューサーのジャスティン・マークス氏に加え真田も制作陣に名を連ね、ハリウッド制作陣が本気で作り上げた戦国スペクタクルだ。このほど、WEBザテレビジョンでは今作に参加しているエグゼクティブ・プロデューサーのマークス氏とレイチェル・コンドウ氏に単独インタビューを行い、ドラマが生まれた経緯から制作に関するエピソード、日本に対する印象や影響を受けた日本人監督などについて聞いた。

世界的にヒットを記録

同作は2月27日より配信が開始されてからの6日間で、全世界再生回数900万回(ストリーム総時間を1、2話の合計時間で割り出して算出)を記録。スクリプテッド・ゼネラル・エンターテイメント・シリーズ作品として、ディズニープラスの歴代1位となった他、映画批評サイト「Rotten Tomatoes」のレビュー評価で配信開始直後までは100%フレッシュを記録。その後も99%をキープ(3月6日時点)するなど、世界中から注目を集めている。

――「SHOGUN 将軍」にエグゼクティブ・プロデューサーとして関わるようになった経緯から教えてください。

マークス氏:私たちが関わっている「FX」というスタジオから、「新しい世代にこれを届けたい」ということで1冊の本が送られてきました。それがジェームズ・クラベルの「SHOGUN」だったんです。ベストセラー小説ではありますが、親の世代が読んでいた作品だったので、私たちはそれを読んだことはありませんでした。でも読んでみたらすごく良くて。この物語は、ある異文化に出会った時、どのようにその文化を知るべきなのかが描かれていましたし、自分自身を知ることにもなると気付いたんです。

――物語の舞台は1600年ですが、異文化に触れるということは今の時代でもあることですからね。

コンドウ氏:まさにその通りで、時代は1600年、戦国武将やサムライなどいろんなキャラクターが登場しますが、登場人物は現代の私たちと同じような感情を持っていたりするので、共感することができるんです。

取材に応じたジャスティン・マークス氏とレイチェル・コンドウ氏(写真左から)撮影:永田正雄

真田の印象は「話すと長くなります(笑)」


――主演の真田さんは“日本を正しく伝えたい”という思いをもって、この作品に臨まれたということですが、一緒に仕事をしてみての印象は?

コンドウ氏:真田さんから本当にたくさんのことを学びました。話すと長くなりますけど、取材の時間どれくらいあります?(笑)

マークス氏:本当にどれだけでも話せるくらい、たくさんありました(笑)。とにかく、真田さんがいなかったら、この「SHOGUN 将軍」というドラマは出来てなかったと思います。主演というだけでなく、プロデューサーとしても貴重な存在でした。私たちが真田さんと最初に会って話したのは、彼の役柄や今回の作品のストーリーではなく、「今までハリウッド映画がどうして日本を正しく描けなかったのか」ということでした。

コンドウ氏:そのことについて最初に話し合えたことが、その後の制作のことを考えると大きなことだったなと思います。

マークス氏:(大きく手を広げるしぐさ)こんなにも長いリストを彼からもらいました(笑)。

コンドウ氏:それは真田さんからの提案だったんです。

マークス氏:そこに書かれていた内容はすごく理解できるものでしたね。例えば、「所作の指導者に参加してもらう」とか「衣装、メイク、小道具に関しても日本の専門家にしっかりと見てもらう」とか、時代考証に関してもキッチリと行うというようなことが書かれていたんです。たくさんの項目がありましたけど、それは決して難しい要求ではありませんでした。私たちも、こういう作品には専門家の方が必要だと思っていたので。

――「これがダメ」「あれがダメ」ということではなく、「これはこうしましょう」という提案のリストだったんですね。

コンドウ氏:そうなんです。細かく代案を用意してくれていたので、すごく助かりました。

マークス氏:そのリストを基に、制作も進めていきました。今回の作品にはカナダやアメリカのスタッフもたくさん関わっています。彼らもプロフェッショナルなので、ただ言われたことをやるわけではありません。リストを基に、「なぜこれが間違っているのか?」というふうに理由を聞いて、それに対する答えをもらって納得するという形で。一つ一つ確かめながら、日本から参加されたスタッフの方との信頼関係を築いていったんです。