――台本があり、せりふを覚えて…といういつものドラマとは違ったと思いますが、脚本から皆さんで考えられていったのですか?
信頼する構成の竹村武司さんが考えた物語がありましたが、それを私は逆に知りたくないと思っていました。私は知らない状態で、皆さんが用意してくださったところにトンと立った時、自分が何を発するのかなと。あらかじめ知ってしまうと、ゴールに行こうとしてしまう。もっとひらいた感性でいた方がいいと思ったんです。
ただ、撮影チームの皆さんはドラマの構成を知っていたので、きっと誘導してくださったような気がしています。皆さんの手の上で転がされながら見つけていく感じでした。元々描いていた方向と合致すればそれはそれだし、違う方向に行ってもそれはそれだし。そういったところが、この作品の唯一さ、面白いポイントなのではないかなと思っています。
――特にいつもと違うからこそのやりやすさ、やりにくさなどは感じなかったですか?
ここ5年くらい、たくさん仕事をさせてもらった中で密着取材もあったので、本人役というところに抵抗はありませんでした。初めは慣れませんでしたが、スポーツでボールと友だちになると言うように、自然とカメラと友だちになれたので。
大切にしていたのは、カメラの前でいかに自分を大きく見せないかということですね。演じることはあったとしても、感動していないのに「え〜すごい!」と感動したり、過剰に嘘をつくことはしたくないなと。
ただ、それってすごく難しいところで、テレビの仕事をする中で、求められるものと自分の感性が必ずしも同じであるわけではない。ではどうしたらいいかなと考えた時に、「自分が何でもポジティブに受け止められるような感性になればいいんだ」と。
ポジティブなところを見つけて、それを表現すればリアクションを嘘なく出来ると思うんです。カメラの前でなるべく誇張しないことは気をつけていたかもしれないです。
――実際に撮影を終えてみていかがですか?
このチームでサイパンに行けたことが何よりも幸せでした。
寝る時以外の全ての時間をロケに費やしましたし、「自分たちのセクションで自分たちの出来る限りのことをしよう」という全員の思いがものすごかったんです。終わった後の達成感や充実感がとてもあり、理想の仕事の仕方だったんですよ。
本当に幸せだと心から思いました。規模が大きくなっていくと難しくなっていくかもしれませんが、お互いをリスペクトしながら、自分だけの思いにならず、いろいろな意見を聞きながらやっていく感覚を忘れずに仕事が出来たらと思っています。
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