――現在第11話までが放送されていますが、印象深いシーンを挙げるならどこになりますか?
福山 全体を通じての話になるんですけど、『島根啓明結社篇』って楽しいのは序盤だけで、そこからはすごくシリアスな展開に突入するじゃないですか。「明るく楽しい学園生活の終焉」を描いたお話でもあるので、原作を読んでいる身としてはちょっと心配になると言うか、最初は「観るのが辛くならないかな?」っていう不安もあったんです。でもいざフィルムが出来上がってみたら僕の心配は完全に杞憂で、不思議と暗い雰囲気にはならないんですよね。もちろんお話自体は原作通りだし、出雲周りの描写など辛いところはたくさんあるんですけど、でも「辛くてもう観れない」っていう感じではないんですよね。
――たしかに。シリアスな中にもコメディが散りばめられていて、緩急が効いている印象です。
福山 そうですよね。だから監督をはじめスタッフさんも、そこは理解したうえでとてもうまく作られているなと思いますし、あとは外道院の力が凄かったなと(笑)。檜山(修之)さんの声って、陰陽でいったら明らかに「陽」なので、どれだけ酷い言葉を吐いてもどこかにユーモア味を感じて、ムカつくんだけどドス黒い気持ちにならないで済むのがいいですよね。その反対に、ルシフェルはすごくカリスマ性に溢れたキャラクターですが、内山(昂輝)君のもつ「陰」がしっかりと作用していて、こちらもしっかりと存在感を示していて素晴らしいなと思います。
――出雲や志摩といったレギュラーメンバーがシリアスなぶん、外道院たち新キャラたちがそれをうまく打ち消しているんですね。
福山 そうそう。語弊があるかもしれませんが、ぶっちゃけ雪男や燐は今回すごくラクをさせてもらっているんです。全体の展開や雰囲気はすべて彼らやゲストキャラがコントロールしてくれているので、僕は手放しでそれに乗っかっている感覚ですね。ただその分、もし次のシリーズがあるならば、今度は僕とノブがめっちゃ神経を使うことになると思います。
――それで言うと、第11話のラストでは雪男がルシフェルと会っていたことが明かされました。
福山 詳しくは言えませんが、どうやら会ったみたいですね(笑)。燐はもちろん、塾生メンバー全員が主人公的な描かれ方をされる『青エク』で、雪男はまだ一度も自分の壁を超えていないんですよね。物語が始まってからずっと目の前に壁はあるので、みなさんがヤキモキする気持ちは分かります。だからこそ、雪男についてはぜひサスペンス的な目線でご覧いただきたいですね。もし今後のシリーズが作られるのであれば、きっとそのほうがより楽しめると思います。
――残すところ最終話だけですから、そこで雪男の問題がすべて解決するとは考えにくいです。これはもう続編に期待ですね。
福山 僕も期待しています。今後の雪男に訪れる展開を考えると、10年前の僕では表現できなかったことも今ならできるかもしれないと思っていて、そんなチャンスはなかなかないので、これはもう期待と希望しかありません。
――いつの日か、雪男と燐が本当の笑顔で笑い合う瞬間が訪れるといいですね。
福山 そうですね。ただそのためには、雪男は燐と一度しっかりと向き合わないといけませんよね。そんなシーンを心待ちにしながら、その時はノブに負けないよう、今から心と身体の筋トレをして迎え討つ準備をしておきます(笑)。
■取材・文/岡本大介
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)