一方、湊(CV:佐藤元)がダンスユニットのメンバーとしてデビューしたことを知り、改めて生きる世界が違うことを実感した柘植は叶わなかった思いを小説にしようとパソコンに向かっていた。しかし、文章を打っては消す…を繰り返す柘植。どんな言葉でも湊を表現することはできなかった。
そんな中、デビュー公演の初日を迎えた湊。ステージを終え、充実感いっぱいの湊にマネージャーから受付で預かったプレゼントが渡される。箱を開けると、新品のシューズが入っていた。差出人の特徴を聞いた湊はすぐに楽屋を飛び出す。メガネをかけた背の高い男性……それは柘植だった。柘植は夢を叶えた湊の姿を見にきていたのだ。
帰ろうとする柘植に「そこを動くな」と湊から電話がかかってくる。その後、柘植のもとに駆けつけた湊は、決勝敗退後にユニット結成の話を持ちかけられたが、極秘だったために連絡ができなかったことを謝罪。しかし、本音はなぜ優しくしてくれるのかという質問に対する柘植の「下心があるから」という言葉にどういう反応すればいいか分からなかったという。
柘植は湊をこれ以上困らせないために、分別ある大人として「あれは言葉のあやだ」と言おうとした。が、柘植の脳裏には湊と出会ってからこれまでの出来事が過ぎる。柘植は湊に対して、初めはあまりいい印象を持っていなかった。
けれど、実は可愛らしい一面があり、夢に向かってダンスの練習を欠かさない努力家であることを知った柘植。これまでは好きな人をモデルに小説を書き、一人で完結していたが、それだけでは満足できないくらいに湊のことを思うようになっていた。その気持ちに嘘はつきたくなかったのだろう。柘植は「どんな物語だって現実の君には構わない 俺は君が好きだ」と情熱的な思いを言葉にして伝える。
出会った時から相手の印象が変わったのは湊も同じだ。最初は柘植のことを変な奴としか思っていなかった湊。けれど、柘植は夢を諦めそうになるたびに背中を押してくれた。その柘植が今、自分への思いを諦めようとしている。湊は意を決し、敗者復活戦でのダンスは柘植に見てほしくて踊ったことを柘植に打ち明けた。
「察しろバカ!」という湊の言葉に柘植は嬉しくて思わずめまい。たまらず「抱きしめてもいいか?」と言いつつ、返事を聞く前に湊を抱きしめる。「いいとか悪いとか いちいち聞くなバカ……」と柘植の胸に顔を埋める湊。「可愛いー!!」という視聴者の声にならない叫びが聞こえてくるようだった。
好きな人の真っ直ぐな思いに体が動かない人はいない。黒沢もまた安達の手紙を読み、自然と足が長崎に向かっていた。安達が出張先のホテルに戻ると、そこには雨に濡れてびしょ濡れの黒沢が。部屋で安達にタオルで拭かれる黒沢は、いつもより弱々しく見えた。
俺も魔法が使えたら安達の考えていることがわかるのに……と俯く黒沢を見て、安達は自分の口から思いを伝えることを決心する。かっこよくて仕事もできて、最初は黒沢のことを完璧だと思っていた安達。けれど、心の中はいつも安達への思いで大暴れだった。実は嫉妬深くて余裕がないところも本人は知られたくないかっこ悪い部分だったのかもしれないけれど、安達には可愛く思えたのだ。
自分がどれだけ黒沢のことを思っているかを伝えるために、安達は好きなところをたくさん挙げる。黒沢が心の声だけではなく、言葉にしてたくさん伝えてくれたように。録音したいからもう一回とおかわりを頼む黒沢を見て、もっと言葉だけでは伝えきれない思いをあげたくなった安達は自ら黒沢にキス。そのまま黒沢は安達をベットに押し倒し、唇を首筋に移動する。
私たちが見ることができたのはそこまで。固く握られた2人の手元だけで表現される情事に、視聴者からは「ロマンチックでドラマチックで…なんかもう情緒の乱高下スゴかった…」「ありがたや…ありがたや…ありがたや…」「繋がれる手から二人の愛の全てが伝わりました」「明日は仕事なのに寝られない!」と興奮気味のツイートがSNSで上がった。
なお、3月21日は安達の誕生日。タイミング的にもぴったりの展開となった。30歳にして色んな初めてを経験した安達。踏み出せたのは、黒沢のおかげだ。柘植の台詞にもあったように「恋は人を愚かにするけれど、それはきっと悪いことではない」ということを描いてきた本作は次週、ついに感動のフィナーレを迎える。恋のパワーでさらに魅力的になった安達と黒沢、そして柘植と湊を最後まで見届けたい。
◆文=苫とり子
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