コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、年頃の娘と父親のなにげない日常を会話形式で描いた作品「父と娘の日常。」を取り上げる。
作者のこばやし たけしさんが3月23日にX(旧Twitter)で同作を投稿したところ、3.6万以上のいいねと共に、多くの反響コメントが寄せられた。この記事では、こばやし たけしさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。
「私、アルバイトすることにしたから同意書、書いて。理由は言えない」ある日、娘が言ってきた。まさか彼氏に貢ぐつもりでは…と不安な父は、「お小遣いはあるだろ?ちゃんと理由を言いなさい!」と問い詰めてしまう。しかし、「言っていいの?パパの誕生日が近いから。自分で働いたお金でサプライズしようと思って」と意外な言葉が返ってきて悶絶する。
「パパの洗濯物さー、勝手に洗濯機に入れないでって…私、言ってたよね?」——よくある光景である。「一緒に洗濯するのはイヤってことか…」と複雑な心境の父だが、「…パパのこのシャツってめっちゃ高いんだよねー、だからさ…ちゃんと洗濯ネットに入れて洗わなきゃダメなんだよ?」と言われ胸をなでおろした。
ちなみに娘はどこか天然な一面もあり、トイレの水漏れをひとりで修理してしまったという父の活躍を「パパ大活躍、略してパパ活」と友達に自慢するが、もちろん即突っ込まれるのだった。
本作では、年頃の娘にあるあるの「言われてショックなこと」を予想しながら読んでいくと、良い意味で期待を裏切られる。いつもクールだが実はパパ大好きな娘と、それにデレてしまう父とのコントラストが微笑ましく、「めっちゃいい娘やん」「もう嫁ですよねこの子」「好きすぎてニヤけが止まらない!は~尊い!」「すごくほっこりしました!父親になった気分です」など多くの感想が寄せられた。
——『父と娘の日常。』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
高校生くらいの年代の娘のイメージってなんか父親に対して必要以上に厳しいというか、それこそ嫌うとまでいかなくてもなんか距離感がめちゃくちゃでますよね。私も経験上、よくわかります。
そうした世間一般のイメージの「父と娘の微妙な関係」を逆手に取る感じで、「一見厳しいことやドキッとする発言を言う娘なんだけど、じつはパパのことを思っているからこそ」、というギャップを描いたら面白いんじゃないかな、と思って一枚だけ試しに描いたのがきっかけです。
それを何回か思いつくままにX(旧Twitter)に投稿したところ、テーマ的にめずらしいというかあまり見かけたことがない新鮮な作品ということで回を追うごとに好評いただきまして、それからこの作品を描いております。
——「父と娘の日常。」を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
こだわっている点というところでは、表面的・直接的に父娘をベッタリとさせないことですね。
娘が父親にベタベタしてたり、父親が娘に甘々だったり。それだとただ溺愛してるだけの関係になっちゃうので面白くない。そうした直接的な表現はあえてしないで、「何気ない会話だけ」で父娘がお互いを思い合う関係を描くようにしております。見て欲しいテーマは、そんな会話から垣間見える親子の絆といいますか、根底にある「家族の信頼関係」ですね。
——ほぼ無表情ながら父親ラブな娘と、それにデレる父親の対比に思わずほっこりしてしまいますが、本作の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
気に入ってるシーンというと、パパとの会話中に娘のスマホに着信(メッセージ)が入ってしまうんですが、娘は父との会話をそのまま続けて出る気配はない。普通だとスマホの方を優先すると思うし、パパも「だいじな要件かもしれないだろ?」と出るように促すんですが、この娘さんは「いいの」と一向に見る気配はない。
その理由が「今パパと話してる事よりだいじなことなんてない」というこのセリフですね。
普通はまずありえないんですが(笑)、こうスパーンと言われちゃうとホント父としてはたまらないと思います。
——本作には父親の姿が登場しませんが、どういった意図があるのでしょうか。
番外編的に登場してる回もあるんですが、たしかにほぼ出ていないですね。父親を画的にあまり登場させていないというのに特に深い意味はないのですが、あえて理由を言うとしたら「読者視点」ですかね。
簡素ではありますが、こうすることで擬似的にこの娘さんの父親の気分を味わってもらえるのではないかと。
——今後の展望や目標をお教えください。
今後の展望としましては、今までの一枚絵スタイルからコマを割ったショートマンガ形式にしたり、4コマにしたりと表現方法をいろいろと出していこうと思ってます。あと過去編として幼稚園や小学生の時のネタとかももっと描いてみたいですね。
目標としましては、ネタ的にショートドラマとか映像化にも向いてると思いますのでそういうのも出来ればなぁ、と思っております。
——作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
いつも『父と娘の日常。』をお読みいただきありがとうございます。
毎回更新を楽しみにしてくださる読者さまのリアクションや応援によってこのお話は続いております。
引き続き楽しんでいただけるよう頑張りますので、どうぞこれからもデレていただければ幸いです。
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